「Xでのホスト考察が秀逸」「ホストの仕事を言語化するのが上手い」といったお話が漏れ伝わってくる『HAREM -総本店-』一祈織(にのまえ・いおり)さんがボーテ初登場! なぜ、なんのために、誰に向けてホスト界隈を言語化し続けているのか? Xの過去ポストを改めて解説していただくと共に、19歳未経験からはじまったホストヒストリーもインタビュー!
「おしゃれでもない、面白くもない、見た目もパッとしない、女性経験も少ない…」と、プラス要素が何もなかったという祈織さん。マイナスからスタートして億プレイヤーになった “売れる戦略”にも注目です!
Xで、ホストの本質やホストクラブに絡むあれやこれやの考察や分析をしている祈織さんですが、これはどういったスタンスで誰に向けて発信しているんですか?
ホストクラブをとりまく男女関係であったり人間関係だったり、あるいは仕事に対しての考え方だったりっていうものを、男女問わず夜の世界に関わるすべての人たちに向けて発信しています。
ホストとしてのブランディングとしてやっている?
そうですね。頭の中ではふわっと思ってるんだけど上手く言葉にできない、そういったものを言語化するのが得意なので。そこを活かして。
たとえば、『ホストクラブに一番依存しているのは、お客様ではなくプレイヤー自身」といったポストがありましたが。これは?
女の子がホストに依存してるって言いますけど、意外と女の子って「この人もういいや」と思ったら簡単に切り捨てることができるんですよ。むしろホストに依存してるのはホスト側ではないかなと。それはなぜか、ということを提示したものです。
僕らは一般人でしかないんですけど、その一般人がきらびやかな世界のなかで女の子にお金を使ってもらって、シャンパンコールに囲まれたら…。何者かになった気分になるわけですよ。それこそ表彰されて壇上でスピーチしたりして、もうこの仕事やめられないですよね。
「ホストを言語化する」ブランディングの成果としては?
よく “宗教”と言われたりもするんですけど、この人に聞いたら解決できる、まとまった考えや答えを提示してもらえる、そういうイメージを持ってもらえることで、「話を聞いて欲しいから指名する」という人たちがだいぶ増えた。相談という入り口が一つできましたね。
宗教…。悩める人々を教え導く教祖みたいな?
良くいえば(笑)。たとえば他店に担当さんがいて、そこで悩みを抱えたとき「祈織くんに相談すれば解決してもらえるから行こう」っていうことがあったりしますね。
祈織さんがホストになったきっかけは?
僕、中高と陸上(長距離)に全力を注いできたんですよ。それこそプロになることを視野に入れて。女の子とも関わらず、友人関係も極限まで省いて打ち込んできたんですけど、怪我で断念することになって…。すべてを犠牲にしてきたぶん喪失感も大きくて。人生終わったなって絶望してた時期があったんです。
大学には進学したものの何のために生きてるかもわからない。そういう日々を半年ほど送った頃、たまたまホストのYouTubeを見たんですよ。そこでホストクラブはランキングの世界だってことを知り、「順位がつくんだ。陸上と似てるな」と俄然興味がわいて…。
ホストに偏見もあったし、良くない仕事だと思っていたけど、でもだから飛び込めたというか。どうせもう自分の人生終わってるし、終わってるなら終わってる仕事してもいいやって。それでその日のうちに「今日からホストになるから家を出るね」と母親に告げて家を出て。終電で新宿へ行ってホストになりました。
その日に!? それはお母さんもびっくり。
決めたら行動早いので。まあ、それぐらい人生に対して投げやりになっていたので、賭けみたいな。これでホストをはじめて本当に人生が終わったとしてももういいやぐらいのノリと勢いでした。
すべり出しどうでした?
だいぶマイナスからのスタートでしたね。陸上しか知らないから、おしゃれでもない、面白くもない、見た目もパッとしない、女性経験も少ない…。ただ、そのままの自分で売れるわけがないっていう自覚はあったので、ある程度戦略を立ててはじめました。
マイナスからスタートする場合、プラスからはじめる人より明らかに遅れを取っているわけじゃないですか。同じやり方で走っても絶対追いつけない。より速いスピードで走れば追い抜けるけど、それができていたらマイナスにはなってないって話で。先を走っている才能のある人間に勝つには、同じ路線ではなく別ルートの攻め方をする必要があるなと。
どういうルートで攻めたんですか。
正攻法で攻めないみたいな。たくさんの人にモテて推されて上がって行くっていうのが正攻法だし、今でこそ僕もたくさんの人に推されていますけど、そのときは僕を選んでくれた1人2人の数少ない女の子に対して極限まで深入りしました。
ちょっと言い方悪くなってしまいますけど、女性ってキラキラ輝いている人に価値を感じると思うんですね。その人の本質よりまず先に、どういう立場にあるかどういう功績を残しているか、そこを付加価値として捉えるのが女性だと思うので。
最初は少ない人数に焦点を当てて。
スタートはどうであれ売れてしまえばいい。カッコいいとかすごく面白いという本質的な強さがなかったとしても、まずは「ホストとして売れている」その付加価値をつける。そこを考えて、最初は少数精鋭というか、自分を支持してくれた人たちにどこまでもコミットして売上を上げる。まず1,000万を売る。で、さらに最年少で1億売れましたとなれば、そこからは加速度的にもっと上がっていくなと。中長期的な目線ではそう見てましたね。
結果半年で450万、1年で1,000万。
プラスをたくさん持ってる人ならもっと早く到達する数字ですが、振り返ってみると業界的に悪くはないペースではあったかなと思います。まだまだ途中ですけどね。まだ才能のある人たちには勝ててない。
1億売ったのはホストになって3年目? その後今のお店に。
1億は2022年、22歳のときです。そのタイミングで移籍は考えていたんですけど、お店に恩を返すためにも2023年は求人とチームリーダーとして従業員の数字を上げるっていうところに注力して。2024年の1月から今いる『HAREM -総本店-』です。
そして2024年も1億オーバー。
2022年、2024年とほぼ同じくらいの数字で1億達成しましたけど、内容的には2024年はすごく良かったなと思います。成長できた1億でした。
最初は少数精鋭でしたが、今は新たな売り方にシフトしていたりするんですか?
今は二層構造になっています。金額の割合でいえば月に100万以上のレベルで使っていただける方、とことん応援してくれる方が7人くらいいて。その下にサブ担として指名してくれている方や相談勢がわーっといるような形になってます。ライトな層のお客様たち。
増やしていきたいのは高額を使ってくれる層?
いや、そこは増やすというよりは長く続くように。「本気で応援してくれてる人を大事にできないホストに何の価値があるの?」と僕は思っていて。今の能力やキャパ的にしっかり向き合えるのは7人ぐらいなので。今いる人を大事にしたいです。どんどん増えていくといいなぁっていうのはライトな層のお客様たちですね。
SNSもライトな層を開拓する目的でやっている?
まぁ、そうですね。2023年くらいからSNSも伸び始めて、そこから来てくれる人たちが今増えていってますね。
Xで『ホストで売れる素質ガチャ一覧』というポストがありましたが、これの詳細を聞いてみたいです。
SSS:顔の整ったプロゲーマー
これは佐藤せるてぃあさんのことですね(笑)。同じお店ってことでネタにさせてもらいました。でも実際プロゲーマーの方は売れる素質高いと思います。それこそめっちゃ計算して、日々すっごい練習をして、1日20時間とかゲームするんですよ。それだけのコミット力があればそりゃもうホストでも売れますよね。
SS:全国クラスの体育会系部活出身
これもプロゲーマーと近い。僕もそうでしたが、全国クラスの運動部出身の人って苦しいこと努力することを厭わない。むしろ好きだと言える。ホストもあたり前に努力しないと売れないのでこの素養はリーチ!
S:顔の整った童貞
「モテる方が売れやすい」イメージあると思うんですよ。確かに売れやすいけど、モテるということは次がいるから1人1人との関係値が浅い人が多い。その点童貞の方は初めて関係を持った女性を崇拝するんです。とことん尽くせる。顔が整ってるイケメンに崇拝されてお姫様扱いしてもらえたら、女の子側からしたらつながりも深くなりますよね。童貞や女性経験が浅い人はそれはそれで売れる要素がある。イケメンな童貞は最強ですね。
A:意識高い系のヒモ
これは想像しやすいんじゃないでしょうか。女の子の情報をすべてインプットできて、それを完璧にロボットのようにこなせる。お金を使ってもらうプロですよね。
B:3年以上交際した彼女がいる人
関係値を長く続けさせられるのはスキルの一つというところで。長く付き合った経験は売れる要素の一つです。
C:学級委員長or元暴走族、元ヤ○ザ
仲間や所属する場所に対してとことん責任を果たせる人たちがこの層。責任感がある人間は女の子に対して発した言葉にしっかりと責任を持てるので、ミスをしないタイプの人たちですね。義理人情で生きてる方々ですし。それを貫ける男性は女性から見たときに男気があって魅力的なので。
D:超絶イケメンかつサイコパス要素あり
女の子を沼らせることができる人たちです。サイコパスって罪悪感がないので、突き放して一旦切るとか極端な行動を躊躇なく取れる。息を吸うように人をコントロールできるタイプです。
E:性癖が寝取らせor極端なSか極端なM
性癖が寝取らせは女の子の仕事を心から喜べるかどうかというところ。ホストクラブのお客様は性風俗のお仕事をされてる方も多いので、自分のために頑張ってくれていることに対して心からありがとうと言えるのがこのタイプ。極端なSか極端なMは関係が深くなったときに「代えがきかない」というところで希少価値がある。
昼職ホス狂いさん※にインタビューした際、祈織さんについて「ホストを言語化できている。お店をやったら流行りそう」という話をされていたんですが、祈織さん的にどうでしょう?
※歌舞伎民から絶大な信頼を寄せられるホストアナリスト。一祈織さん絡みのコメントは既出コラム『昼職ホス狂いさんって何者!? その素性と歌舞伎ニュース2024』でCHECK!
爆発的に流行らせられるかはわからないけど、確実に失敗しないお店は作れると思います。ホストをやっているメリットを受けられる最低ラインは売上100万だと思ってるんですけど、そこはどんな人でも売らせることはできると思います。今も教育には自信があるというか、チームの後輩たちが結果で示してくれているので。再現性のあるお店作りという面において失敗はしないと思います。
祈織さんの今後の展望は?
僕、何のためにホストをやっているかと言えば、究極の自己実現だと思ってやっているんです。陸上で夢を叶えられなかった挫折感もあるし劣等感も強いほうなんですけど、この仕事をしていれば、自分の夢や目標を支持して応援してくれるお客様がいる。応援されているその瞬間があることで生きてていいんだなって思えるというか。
将来起業したいとか夢があってホストをやっている人も多いと思いますけど、僕はただシンプルにホストという世界の中で生きていることで満たされているので、できる限りホストを続けられたらそれで幸せですね。その過程でプレイヤーとして売れて、自分のお店を持つという未来があったとして、やっぱり現場でずっとお客様と関わっていきたい。末長くホストができたら本望です。
ホストを言語化するホスト、一祈織さん、「ないない尽くしのスタートでも追いつくルートはある」心強いお話でしたね。 (取材・文/ささきみどり)
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