街で、インスタで、パッと目を引くキャバクライベントの派手な装飾。かわいくって特別感も出せる華やかなお花やバルーンは、一体どういう人の手によって作られているのか♡ キャバクラのイベントを影で支えるお花屋さんのお仕事について聞いてきました!
今回は歌舞伎を愛し、歌舞伎に生きる「新宿の花屋」杉山さんにお話をお伺いしました♡
歌舞伎町でお花屋さんに困ったら「新宿の花屋」!
いきなりなんですけど、お店の名前が「新宿の花屋」なんですね?
そうです。もともとは「オスカル」っていう名前だったんですけど去年の4月に変えました。お客様も夜の業界の方が多く、東京以外から新宿に頼まれるようになってきてるんですね。たとえば大阪から新宿にとか。そういう場合、どこのお花屋さんにたのんだらいいかわからないじゃないですか?「新宿 花屋」で検索してもらえれば検索に引っかかるようにっていう、そういう理由です(笑)。
なるほど!名前を変えたことで、何か今までと変わったことはありました?
これからじゃないですかね? 少しずつ浸透してくると思うので。
杉山さんはエミリアウィズのイベント時の店舗装飾もやられていたと記憶していますが、夜のお店だけじゃなく、アパレルのお店でもOKなんですか?
大丈夫です。あとはプライベートなホームパーティーのバルーン装飾のオファーとかもありますよ。お花もバルーンもどちらもできるんですけど、キャバクラさんはお花とバルーンのMIX案件が多くて、一般家庭は子供の誕生日とかホームパーティとかで、バルーンがメインになりますね。
それは注文した側がそういう希望を言うんですか?
はい、お客様から注文が来るので打ち合わせして。たとえばホテルでプロポーズしたいっていう依頼がくれば、ホテルに装飾することもあります。
事前に打ち合わせするんですね!
そうですね、しないとできないです(笑)。
結構、細かいところでわからないことが多いので。たとえば部屋を装飾するってなると、何で留めていいのかわからない。両面テープで貼ると壁紙が剥がれてしまったりとか、いろんなことがあるので現地をみないとわからないですね。
1件1件見るんですか?
装飾して、主役が帰って来てサプライズっていうパターンだと必要になりますね。でも写真で対応する場合もあります。「どれくらいの広さですか?」とか「ピン使って平気ですか?」とかヒアリングして。
装飾物を撤収するところまでがセットですよね?
バルーンは割って処分してもらうこともあります。持ち帰りたい方にはそのまま持ち帰ってもらったりもします。
キャバクラのイベント時の装飾とかお店の面積も広いし飾り付けも豪華ですよね?そういうのって大体何人くらいでどのくらい時間がかかるんですか?
規模によりますが予算100万円超えとかの大きめな案件は4、5人で1日かかったり。お花をさす時間と設置する時間が必要じゃないですか?
それで大体2チームにわかれるんですけど、まず前日までに作っておいて当日納品するだけなら3人とかでもできます。あとはスケジュールと規模によってバラバラです。
水商売からお花屋さんへ突然の転職♡
杉山さんはなぜこのお仕事をされてるんですか?
私がもともと水商売をしていて、六本木や大阪でショークラブやサパーにいたんです。で、水商売に関係のあるヘアメイク、ネイル、ドレス、花など関連事業があるじゃないですか? その中で売り上げに悩んでいた花屋の買取り話が、最初僕の先輩のところにきて、そこから僕のところまで話が降りてきたのが始まりです。
ええ!?いきなりですね。そんな急に買い取るのって勇気いきませんか?
勇気いります。まぁリサーチはした状態で、圧倒的にダメな部分があったのでソコさえ改善すれば大丈夫でしょうってところがあったのでGOは出しました。
そもそもなぜお花屋さんを?
単純に儲かるって思ったんです。知り合いもたくさんいて、見込みもけっこうあったんで。何百万くらいの売上はとりあえず立てられるでしょうっていう概算があって。人が多くなければまわるでしょうっていう。人件費が一番かかるので。そこだけ精査すれば、あとは自分の給料をおさえれば最初は大丈夫、っていうところでやりましたね。
結果どうでした?
結果…色々ですね(笑)。
大変なこともありましたし、そんな簡単にはうまくいかないです。でもなんとか続けさせてもらってます。
街のお花屋さんとは違うんですか? 普通にお花は買えるんですか?
買えますよ。普通に花束とかも作ります。ただ、そういうイメージのお店作りをしていないので。作業場…工房みたいな感じなんです。街のお花屋さんみたいなディスプレイはしてないです。だからシャッターをあけたら脚立があって花瓶があって…みたいなノリなので。「なにこれ花屋?」ってなると思います(笑)。
じゃあ何も知らない人がポンとお花を買いにくることはないですか?
ほぼないです。知ってる人しかいないですね。
ところで、キャバ嬢の方のバースーデーベントの装飾をする際に、女の子から指名されるんですか?
本人もしくはお店から連絡が来ます。お店行って打ち合わせして、金額と内容を決めて。女の子も売り上げが上がったほうがいいから、うちのほうでも宣伝したりしますね。たぶん歌舞伎町の中だけで1,500人くらいは知ってると思います。池袋、六本木、渋谷には弱いんですけど。
歌舞伎だけで1,500人ってすごいですね!
でも10年かかりましたんで(笑)。
辞めた人もいますし。いったりきたり、出たり入ったりがあってなんとなく今は1,500人くらいって言う感じです。
歌舞伎町には他にもお花屋さんってあると思いますが、その中でも「うちは1番なんじゃないか」っていう自信はありますか?
ないです。他のお花屋さんがやってる装飾も結構見てるんで。うちだけじゃないよなっていうのはわかってます。たとえば、うちってキャバクラさんは強いんですけどホストさんのお客様はまだ、全売り上げの1割程度です。
じゃあ、あんまり一人勝ち感は自覚ないんですね?
僕の勝手なイメージなんですけど、キャバクラさんのほうが流行に乗ってるというか。装飾はインスタ映えもしますし。ホストさんは一部の敏感な方だけにしかそれがないように感じてます。
たしかにホストさんでインスタのフォロワー数多い方ってあんまりいないですよね。キャバ嬢さんだといっぱいいますけど。ところで、お仕事内容が独特な気がしてたんですけど、やってる事は街のお花屋さんとそんなに変わらないんですか?
いや、ぜんぜん違うと思います(笑)。
お花を仕入れにいったりは同じですけど、打ち合わせや装飾するっていうところは違うと思います。やっぱりこう…基本的にお客さんが良かったらOKじゃないですか? 業界的に色を押し付ける側面があるんですよ花屋って。「うちはこういうのしかできませんから」みたいなことが結構ある。それは良くないことだと思うんです。僕もともと水商売なのでお客さんの気持ちわかるじゃないですか? だから、「喜べば何だっていいんじゃない?」みたいな。
地道な数珠つなぎで活動で新宿の立役者に♡
ところで、どうやってお客さんを掴んでいったんですか?
最初は飲みに行きました。顔を覚えてもらわないといけないんで、半分売り込みです。「どうすればいいかな、どことつながればどうなるかな」っていうのを考えて。たとえば、仲のいいキャバクラの女の子に、他店で働いてる女の子を紹介してもらうんです。で、紹介された子のところに行って「何かあったら頼みますね」っていうのを永遠やってました。
数珠つなぎですね!
そうです。その頃からキャバクラ系のサイトは豊富にあったので「この店のナンバー1は誰」とか分かってるわけですよ。そこにどうやったらたどり着くかな、みたいなことをしてました。で、女の子には黒服さんがついてるので、その方と仲良くなって情報交換したりとか。めちゃくちゃ地道ですよ。そこの部分で最初は赤字出ました、ずいぶんお金払いましたね(笑)。
そうですよね!でもそれは初期投資でしょうがない。
しょうがないです。初対面でいきなり「良かったら頼んで」とは言えないじゃないですか、やっぱり。「良かったら使ってやってください」くらいな感じで。
そこまでの草の根運動をみんなができるのか…。途中で心折れる人がほとんどな気がします。
まぁ運が良かったんじゃないですか? もともと水商売やってたのもあって知り合いが増えていくのも早かったんで、それは良かったと思います。
何かトラブルとか、急な変更依頼とかも多そうです。
はい…でもそんなことよりもキャバクラ全体が流行らなくなるのが一番困ります。業界が流行ってないと花屋は必要ないから、そっちのほうが怖いです。今のところ大丈夫ですけど、なんかあるんですよ、5年に一度くらい周期が。「イベントが減った」、「イベントするけどお金はかけない」みたいなことが度々。オリンピックがあるからってキャバクラは流行らないんですよね、多分。いいものを作るのが先か、安いものをたくさんつくるのが先かみたいなところがあって、どっちかっていうと「数が少なくても良いものを出したほうがいいんじゃないの?」っていう時期に来てる気はします。
そういう波も読まなきゃいけないんですね。今後、他の街に進展する予定はありますか?
ないです、ずーっと歌舞伎町です。少なくとも他の誰かと行って、誰かにさせるのはないですね。同じことができないし、時代も違うし。歌舞伎町だから通用したものがそっちでは通用しないとか。あと、歌舞伎が日本で一番流行りが早いって思ってるので。似たようなものが他の地域にあることはあっても、よそからの発信ってあんまりない。圧倒的にかわいいのも、規模も、街レベルで考えたらやっぱり歌舞伎町が一番だと思います。
キャバクライベントでのかわいい装飾は繁華街の風物詩的なものになったけど、それだって当たり前じゃない♡ 夜な夜な打ち合わせして装飾して、動いてくれる人たちがいるから成り立ってるということに改めて感謝♡
個人店最強のホストクラブ『VELVET』代表・ロイ 「美しい売り方を」新天地での...