キャバクラ界のレジェンド一条響さん。その12年間の軌跡を3回連載でお届けしている『一条響キャバ嬢ヒストリー』!
全国区の有名嬢へと駆け上がった『歌舞伎町 成り上がり編』に続き、最終回はキャリアの頂点を迎える『売上モンスター爆誕編』。
ディレクター就任や2年連続7億の話、そして引退イベントまで。歌舞伎時代の後半をまるっと語り尽くします♡
★第1回:六本木でのキャバクラ青春編
★第2回:歌舞伎町成り上がり編
2018年でナンバーは殿堂入り。2019年からディレクターも兼業になりましたけど、具体的にはどんなことを?
店舗のプロデュースはえみりさん、現場でのキャストの育成は私、みたいな役割分担で女のコたちの相談に乗ったり、売れるためのアドバイスをしたりっていう感じかな。基本、話を聞いて欲しいっていうコを中心に営業終わりに時間を作って面談したり。「こういうLINEにはどう返したらいいんですか?」とか、そういう細かい相談にも乗るようなイメージ。
人を育てる。やってみてどうでした?
新たな経験っていうところで成長にはつながったんじゃないかな。ずっと一匹狼で生きてきたからディレクターになったことがまず大冒険で大挑戦だったし。
もともと性格的には長女だし人のお世話をするのは好きなんだよね。だけど、この世界は孤独だし、ずっと独りで頑張ってきたから。「自分の頑張りを誰かに伝授するなんて!」っていう気持ちはあって。マニュアルがあるわけじゃないし水商売って。
私はアブノーマルなタイプだったから、自分の作ってきたもの、キャバ嬢の応用編を教えたところで、「どうせできないでしょ?」みたいなところもあって。でも、応用ができるってことは基礎も考えたら教えられるなっていうところで。こう、忘れかけていた新人時代を思い返しながらみんなに伝授する、マネジメントするっていう。
最初はうーんって難しい感じだったけど、だんだん教えた相手が成長していくのを目の当たりにすることによって、育成ゲームじゃないけどさ。そういう感覚で楽しくなっていったし、一匹狼で生きてきた私に仲間ができたみたいな感じかな。
2018年でランキングも殿堂入りした響ちゃんですが、2019年から1段階売上が上がってるんですよね。ナンバー抜けてもっと売れるって不思議な気も…。
多分心の余裕ができたんじゃないかな。余裕ができたことにより優しくなり、結果売上も上がったみたいな。
それまでは1位でいなきゃいけないプレッシャーがあって。それが相当重荷だったんだと思うんだよね。1位って上がないじゃない? 落ちるか維持かみたいな。落ちるかもしれないっていう不安…? それがなくなったことによって、逆に「ナンバー殿堂入りしているのに1位だったらカッコよくない?」くらいの余裕ができたんだと思う。
響ちゃんなら余裕で毎月1位そうだけど?
落ちないでしょって感じだけど何があるかわからない。明日、全員お客さん切れるかもしれない、120%1位ですって言い切れる自信がなかったんだと思う。気にしぃなタイプではないし、なんでもいいや〜ってケセラセラなタイプに見えて、意外と「はっ! 1位じゃなかったらどうしよう」とかは思ってた。死ぬ!みたいな(笑)。
2021年からは年間5億の時代!
このへんからは数字のことはあんまり考えず多少ゆるっと。プライベートも優先しつつキャバクラ以外のことでも忙しくしてました。
数字にはあまり捉われず? それで5億って…。
これまでもそんな数字数字!って感じではなかった。ただ、2019年、2020年は本を出す予定があって。出版社の人から「売上の数字を出したいから計算しといてください」って言われてたの。だから毎月きちんと自分で計算してて。そういう意味で数字のことを考えてた(笑)。
じゃあもしかして2021年以降もちゃんと計算したら5億以上いってるとか?
いや、自分が計算してなくても税理士さんが計算してるw 確かそのぐらいだった。
本を出版した2021年以降はボトルのまとめ撮りもめっきり減り…。
ハハハハ。時間がなくて(笑)。あれって結構大変なんだよ。まず、お店の人に保管しておいてもらわなきゃいけないし量も膨大だし。「そろそろコレ、どうにかしてください」ってなるんだけど、撮るってなったらちゃんと並べて撮らなきゃだから。何か特別なことがあったときしかまとめ撮りはしなくなっていったんだよね。
置き場所にも困りますしね。
だからもう、抜栓シーンとか「これおろしてもらいました」っていうストーリーがメインになってた。そういうの載せて欲しいっていう人もいるから。
引退発表したのっていつでしたっけ。
(2024年の)8月1日。…いや違う。そうしようと持ってたんだけど間に合わなくて2日か3日だったな。
反応や反響は?
いやもうすごかったよ。「さみしい!」みたいな。
引退がこのタイミングだったのは?
ほんとは30歳で引退したいなと思ってたの。(愛沢)えみりさんが30歳で引退してたから、そういうもんなのかなみたいな。感覚的に節目は30歳っていうイメージで生きてきたんだけど、何せ30歳は調子がよかったのと店の状況的にもまだ自分がいたほうがいいなとか、いろいろとタイミングじゃなくて。
売れてましたしね。
でも、売れてるうちに引退したいなって気持ちと、もったいないよねっていう気持ちが入り混じって…。気づいたら31歳になってて。どうしようってなったときに、もうなんか今かな?みたいな。年齢的にキリがいいってなったら次は35歳になるわけじゃん? いや、それは無理だなと。
ラストのバースデー月(2024年9月)は最後だし毎日出勤?
だいぶ出てはいたけどフル出勤ではなかった。でも、すごいキツかったな。それまでがもうずっと週2、週3くらいしか出てなかったから。「あ〜疲れた、明日も出勤じゃん」みたいな。9月の月初から半ばくらいまでは歯を食いしばって、「あと○日で引退できるから、あと何日!」と言い聞かせて。ただ出勤してるわけじゃなくて、同伴もするし毎日10組以上のお客様が来るから。指名本数も9月は200本超えだったからね。
毎日10組以上! 指名が月200本は過去最高では?
もう何が何やら。「誰来たっけ」ってなっちゃって。いさこ(響ちゃんの相棒の女性黒服さん)に、「待って、誰来たか教えて」みたいな感じで確認してた。誰がどのシャンパン入れてくれたかも、ストーリーを見て思い出すっていう生活を繰り返して…。
だからもう、相当お店の女のコにも支えてもらってた。9月に入るまではそんなに絡みがなかったコも「私も肝臓になりたいです!」って感じで言ってくれて。頑張ってくれたコたちがたくさんいて、ほんとにありがたかったよね。
これでラストと思うとだんだん寂しくなったり?
そんな余裕はなかったかも。改めてしっかりキャバ嬢として働いたから、半分ぐらいはマジでしんどいしかなかった。「寂しいですか?」「実感はありますか?」っていろんな人に聞かれたけど、ぶっちゃけそれは全くなくて。
これでもう一般人に戻りますとか、海外に行きますとかなら、多分、寂しいとかあったと思うけど。全然、一条響としてこれからも生きていくし、フォーティーとも関わりを持ち続けるしってところがあったから寂しい悲しいって気持ちは全くなくて。なんなら9月の最終日にやっと涙が出た感じ。
3日間タワーもやりましたよね。それぞれすごい高額なタワーを3回って相当大変だったんじゃないかと思いますけど。
11日目は逆に二つ返事でOKしてもらえた。「タワーしてよ」「え、僕ですか。はい」みたいな感じの“田中”だったから。
田中さんっていうのは?
田中はいつもカバンをこうやって持ったまま(ぎゅっと抱え込んで)飲む人。えみりさんが「ねえ、なんでカバン持ってるの?」って聞いたら、「いつでも帰れるようにです!」って言ってた(笑)。
田中さんかわいい。付き合いは長いんですか?
長いね。普段、毎月毎月来る人ではないんだけど、誕生日、周年、クリスマス、そういう節目でドカンとやってくれる人。本人も楽しんでくれていて。なんかお酒とかおろしても、つまらなそうにする人もいるのね。その点田中は、「ひびきちゃんが喜んでくれた」とかでもなく、純粋にキャバクラを楽しんでくれる人、だと思う。
2日目は夜界隈の有名人。ごまちゃんこと“こまちぃ”さんのタワー。
2日目はミラクルだった。そもそも予定していた人に飛ばれるっていうまさかの出来事があって…。そこで救世主のごまちゃん! ごまちゃんは港区界隈で有名なお客様でなおかつ正体不明みたいな。何してる人かもわからない、でも、いろんなコのタワーをしているイメージがあったから。ダメ元でDMでお願いしてみたらまさかのっていう(ごまちゃんさんは基本DMをもらってから興味の有無を判断するスタンスの方)。
タワーをする人って結構変わってて。普段、すっごい高額を使っててもタワーだけは嫌だっていう人もいるんだよね。口に入れるものに関してはお金を払うけど、タワーって流すものだから。それにお金を払う意味がよくわからないみたいなことを言われたことがあって。だからお願いしちゃいけない人とお願いしていい人がいるっていうのはわかってて。その点、タワーをやった経歴がある人ってタワーを否定しない人、タワーを肯定してる人じゃん? だから1回連絡してみようって思ったの。わからないけど直感ね。
なんてDM送ったんですか?
ギャグっていうか、これまでも何千万とかのタワーをしてる人だから、面白いほうがいいのかなと思ったの。で、「引退するんですけども」って。「引退を機に売名とか興味ないですか?(笑)」みたいな。
そしたら、「売名に興味ないけど、引退式には興味があります」みたいな感じで言ってくれて。そこから電話番号を教えてもらってかけて「実は…」みたいな。直前にタワーを飛ばれたっていう事情を話して。
そこから3,000万タワー。すごい!
ごまちゃん神! っていう感じ。しかもそれまでに会ったこともないし、私がどんな人かも知らないしっていう状態で。多分、私の名前聞いたことあるくらいだったと思うんだけど。引退式の2日目に来てくれたのがはじめましてでした。
イベント最終日は近年恒例、林先生タワー。
今回、直前でタワー飛ばれたりとかいろいろあったけど、このタワーが一番大変だったかもしれない(笑)。最後の最後まで駄々こねてて、毎回大体駄々はこねるんだけどw
駄々をこねる(笑)。
結局毎回やってくれてるんだけど、その駆け引きを楽しんでるみたいな感じ?(笑) でも、彼は彼で毎年タワーしてくれてるからプレッシャーあったんだろうなって思う。周りからも「林さん今年もやるんでしょ。何のタワーするんですか?」って聞かれていたらしく。今回、林さん的に過去最高額だったって言ってたし。「ありがとうございました」しかないけどね♡
とてつもない話でしたけど、響ちゃんでもタワー飛ばれたりってあるんですね…。
え、ないよ。そんなことはじめてだよ。他の人はわからないけど私はない。そもそも信用のない人に頼まないから。今回、3基用意しなきゃいけなかったからっていうところでね。しかも500万とかじゃなくてさ、引退となったら何千万かのタワーが必要だから。やっぱり限られてくるじゃん頼める人が。
しかも、現役バリバリでずっとやってきたわけじゃないじゃん。もうここ数年はディレクターとしての活動のほうが強かったし。週2、3しか働いてないのにいきなりね、何千万お願いしますなんて、なかなか難しいでしょ。
と考えると救世主が現れたことも含めてやっぱりラッキーガールですね。そして9月の売上は3億!
やっぱりラストっていうところでお客さんもたくさん来てくれて、それぞれ高額を使って頂いて。ありがたい♡
この12年間を振り返ってみて。キャバ嬢やめようと思ったことってあります?
初期の頃はあったね。あとコロナ禍のときとか。店が2カ月くらい閉じてたじゃない? フォーティーは途中からオンラインキャバクラをやってはいたけど、このときはもう家にいることが幸せすぎて。このままずっと家にいられたらいいなとか思ってた。その後も、そういう気持ちになることは全然あったけど…。でも、なんだろうな、染みついちゃってるというか。ほんとにやめたいと思ったことはないかも。
この12年。12年かぁ〜っていう感じ。なんか長いようですごい短かった気もする。あっという間の12年でしたね♡
3回に渡ってお届けした響ちゃんヒストリーいかがだったでしょうか。現役キャバ嬢としての歴史は終わっても人生はまだまだ続く! ということでこれからの響ちゃんの活躍も共に見守っていきましょう♡ (取材・文/ささきみどり)
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