歌舞伎町のヘアセット専門サロン『e:studio』で勤務するchiiikoさん。大変だったアシスタント時代から、有名キャバ嬢たちから熱いラブコールを受けるようになるまでの成長のお話を聞かせてもらいました!
ヘアメイクさんになろうと思ったきっかけを教えてください!
学生時代にダンスをやっていて、自分でヘアメイクをする機会があったんです。将来的に、自分の子供の七五三や成人式でヘアメイクをしてあげられたらいいなと思い美容学校へ進学しました。勉強は大っ嫌いだったので、大学に行くつもりはなかったですね。
ブライダルの学校だったので、最初はその道に進もうと思ったんです。だけどやっぱり、髪を染められないのもメイクを薄くできないのも嫌だなと思って辞めました。
ブライダル業界では、あまりメイクは濃くできない?
あんまり印象はよくないですよね。自分より年上な方をお相手するときにも、子供みたいな子にメイクされるのは嫌な気がします。あとは自由が全くないとか、朝がものすごく早いとか、若い時はその時点で嫌だったんですよ(笑)。
それで当時、agehaさんやBETTYさんとかって雑誌がすごく流行ってて、歌舞伎町の『e:studio』の今の代表がよく掲載されてたんです。それを見て“あっこの人上手だな”と思って、面接を受けました。それ以外のサロンなどは、一切受けてないですね。
それくらい、もうここ!と決めた感じですね。実際に働いてみて、ギャップはありませんでしたか?
私、国家試験に一回落ちちゃってるんですよ。学年で1人だけ落ちました(笑)。美容の国家試験なのに、物理化学とかあるんですよね。最低限の一般常識ができないとダメみたいで。でも、とにかく勉強してこなかったんで、リトマス紙のこととかもわかんない。みんなが実技の勉強をしてるなか、先生と個室でマンツーマンで学科だけをやらされてました。「実技はいいから学科を勉強しなさい」って。
美容学校って憧れだけで入ってくる人が多いので、厳しさに耐えきれなくて1年生の1か月目で1/3ぐらい辞めちゃうんです。1年生が終わる頃には、半分ぐらいの生徒数になっちゃうんですよね。厳しいのはもちろん、お金もかかる。練習ウィッグは切りすぎるたびに新しいものを購入するので、その都度3000円くらお金が飛んでしまう。それで水商売を始める子は多いですね。上京してくる子も多いから、家賃が払えなくてバイトに明け暮れて学校寝坊して行けなくなったり。国家試験て、出席日数も足りないと受けられないんですよ。だから私も朝5時までバイトして、そのまま学校行って、寝ながら授業受けたりとかしてました。
すごいハード! 学科試験は受かってないまま『e:studio』で働くことになったんですね。
実技は受かっていたので、また半年後に学科の試験を受けられたんです。代表には『絶対に受かってこい!』と言われてました。最初はサロンでの練習もあるし、学科の勉強もあるし、初任給じゃやってけないからバイトもするし、もうわけのわからないサイクルで毎日大変でした。
2回目で学科試験合格! 生活サイクルは少しは落ち着きましたか?
合格してやる事が一つ減ったんですけど、うちのサロンが本当に厳しくて。だからとにかく練習しないといけない。お客様の目も肥えちゃってるんですよね。アシスタントがする下準備ですら、うまく出来てないとお客様からも指摘されます。お客様のピアスが落ちてしまったときは「歌舞伎にいられなくなるよ」と言われました(笑)。
それでも3年間、アシスタントを続けられた理由は?
誰よりも上手くなりたかった。すごく負けず嫌いなので、怖いお客様たちにも認められたかったんです。最初は怖くても、こちらが成長すればやさしく認めてくれるんですよね。
アシスタントさんだと、ぶっちゃけお給料も少ないかと思います。
他の店だったら、割とすぐにスタイリストになれるんですよね。スタイリストになれるって事は、給料も上がる。ほとんどの人が、仕事してるんだからお給料ほしいですよね。それに何より“ヘアメイク”をしたい。いつまでもアシスタントなんかしたくないんですよ。だけど私はそれ以上に、まずは下積みで力をつけて、上手くなりたかった!
美容業界って自分を持ってる子も多いから、指図されながらやりたくないって人も多いんです。「言われなくたって出来るし」みたいな。うちのサロンの技術が高いから「一からやりたい」と中途で入ってきても、結局は今までの経歴があって、そのプライドは絶対にへし折れない。だから、絶対辞めますね。「一からやってください、全然出来てません」っていうこちらの声を受け入れられないんですよ。私はいい意味で、自分がない(笑)。この人に教わりたい!って思ってる人の言うことは、もう鵜呑みにしか出来ないんです。「汚い」と言われれば汚いし、そう言われてる間は絶対お客さんに入りたくなかったですね。
とにかく毎日練習あるのみ!だったんですね。
そうですね。練習する上で、一番感謝してるのがAV女優のAIKAちゃん。実は彼女、専門学校の同級生なんです。彼女が駆け出しのAV女優の時に、ちょうど私が練習期間だったんですよね。仕事終わってから練習するのに、彼女が練習モデルとして毎日来てくれたんです。もう毎日、毎日。「ちーちゃん今日、昨日よりうまいんじゃない? ちょっと代表に見せてみれば?」みたいな。彼女がスカパーのアダルト放送大賞2017で女優賞を取った時は、もう泣きましたもん。
今では一条響さんをはじめとした、人気キャバ嬢やホストの方のヘアも多く担当されてますよね。
私のお客様で「私が今日から可愛がろうと思ってる子なんだけど、ヘアメイクは絶対ちいちゃんにお願いしたいんだよね」と言って連れてきたのが、響だったんです。当時はここまで有名じゃなかったけど“絶対に売れるな”っていうのはありましたね。女の子でも男の子でも、パッと見て売れるなって惹きつけられる子っているんです。響は無邪気で、華がある。響とか、私がいないともう生きていけないんですよ。私が地方で東京を不在にしてると「えっ、(ヘアメイク)どうすればいいの?」って言ってますからね(笑)。
全てchiiikoさんが手掛けた一条響さんの作品。「一緒に成長してきました!」
歌舞伎町という街を10年見てきてどうですか?
丸くなったかな。時代もあるのかもしれないですけどね。それこそ新人の子たちは、仕事はやりやすいだろうなって思います。昔の売れてるキャバ嬢の子って、もっとツンとしてたというか。今って、優しい先輩って感じの方も多いですしね。
この仕事に向いてる人は、どんな人でしょうか?
普通のヘアメイクさんなら、センスと努力。でも私、センスはなければ努力を積み重ねて積み重ねて養えるものだと思うんです。うちのスタッフでも、言ってしまえばセンスのあるタイプじゃなくて、飛び切り上手くなるとも思ってない子がいたんです。だけど今じゃ、めちゃくちゃ上手なんですよ。自分の理想としてるヘアメイクになるために技術を積めるか、諦めないでやれるか。こうなりたいっていう強い意欲があれば、ヘアメイクさんってなれると思います。
ヘアメイクさんて、毎日会うとお友達みたいな気持ちになっちゃって、自分の感情の起伏によって接客態度が変わっちゃう方がいるんですよ。だから自分の感情を表に出すような人は、あんまり向いてないかもしれません。技術があればいいのかもしれないけど、水商売相手のヘアメイクになりたいんだったら話が違う。私たちは出勤前に、その子たちのモチベーションを上げてあげるのが仕事なんです。周りから「今日いいね」って言われるから私を指名する子って、結構いるんですよね。「ちいちゃんにやってもらって昨日指名が取れた」「ちいちゃんと話す事で今日がんばれる」って言ってくれる子がいる。それが、すごくうれしい。そういう関係を大事にしたいと思います。
週6で10年間、同じ場所で働き続けるchiiikoさん。継続は力なり!とはまさに彼女のこと。練習量は決して裏切らない! どんなに仕事がつらくても、がんばる意味を教えてもらえた気がします♡
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