どんな売れっ子でも一生プレーヤーではいられないのが夜の世界。起業する人、昼職に転向する人…と進む道はいろいろですが、内勤として運営側に回るというのも選択肢のひとつ。お店の代表を5年務めたのち店長になった『ALL WHITE』の薫さんもその一人。内勤の道を選んだわけ、キャストとの関係から仕事のやりがい、お給料事情まで店長のお仕事にまつわるお話を幅広くうかがいました。一歩引いた目で見ているからこそわかる売れ続けるホストの特徴にも注目です!
ALL WHITE店長・薫さん(35歳)
茨城県出身。20歳からAIR GROUPでホストを始め27歳で『AAA』の代表に就任。5年間の代表時代を経てホストを卒業、同店の店長に就任。2021年5月に『ALL WHITE』へ異動。付け回しに関しては他店の店長に負けない自信あり♡
ホストクラブの店長さんってどんなことをするんですか?
店によっても違うとは思いますけど、自分の場合は主に付け回しやお店の管理、キャストの管理ですね。
キャストの管理というと?
売上や目標に対しての達成度を見てメンタル部分のマネジメントをしたり、「あとちょっとだね」とケツを叩いたりしてます(笑)。
全員見るんですか?
基本的には全員見ています。同じお店の中でも幹部がリーダーになる形で4チームほどあるんですけど、チーム内で伸び悩んでる子を個別で教育したりチームリーダーが目の届かない部分をサポートしています。
薫さんがホストから内勤側になった経緯は?
27歳のときに店の代表になってほどなくプレーヤーも上がって、内勤っぽいこともやりつつ運営側の立場で代表業務に専念していたんですけど、そこから変わっていった感じです。代表にもバシバシ売上を立てて背中で見せていくタイプと、キャストやそのお客様に時間を使ってサポートしていくタイプと2種類あると思うんですけど、自分の場合は後者だったしそこにやりがいや充実感も感じられたので。
店長になったタイミングは?
代表を5年務めたときに切り替えました。新しい風を吹かすためにも後進に道をゆずらないとねってことで。当時『ART』にいた蒼月空を引っ張ってきて『AAA(トリプルエー)』の新代表に立てて、その流れで自分は店長に。
代表から店長になって変わったところは?
感覚的なところではあんまり変わってないですけど、役職的には代表のほうが上なので代表を立てつつ。代表が作りたいお店を作れるようにサポートするっていうところで役割と立ち位置が変わりました。
代表の方を見てて気になるところがあったときは?
助言はしますよ。経験談として。でもやり方を押し付けたりはしないです。助言といっても相談ベースですね。「あのコは今こういう悩みがあるから、こうしていったほうがいいんじゃない?」みたいな感じで。
キャストに言いづらいことあったら俺が言うよとか、これやっておくよとか。代表が仕事をやりやすいように立ち回るのが自分の役目なので、日頃からホウレンソウもしっかりやってますね。
内勤さんは結婚していても問題なし?
してる人もいると思いますよ。自分はしてないですけど。「結婚したから上がったんでしょ」とはよく言われますけど、僕に関してはそんなことはないですね(笑)。
ホスト時代と内勤になってからとでは収入は変わりました?
そこはやっぱりプレーヤー時代のほうが稼いでましたね。ホストは個人事業主ですけど内勤は会社員で固定給ですし。とはいえある程度の額を頂いているので給料に対しての不満はないです。キャストのコたちをごはんに連れて行くことくらいはできてます(笑)。
ボーナスとかあるんですか?
サラリーマンの人みたいに夏と冬っていう形ではないですけど、その月の店売が良かったときには売上の○%みたいな形で特別手当が出たり。固定給以外の面でもモチベーションはありますよ。
お給料は年々ベースアップしていく?
一応うちのグループだと年に1回査定みたいなのがあります。周りからの評価や意見を吸い上げた上でグループの大社長と面談して決まるんですけど、めちゃくちゃ緊張しますね(笑)。
AIR GROUPといえば「職業、イケメン。」。その中でもALL WHITEのイケメン傾向は?
グループの中でも正統派のイケメンが多い店舗だと思います。年齢層も若いのでいまどきのカッコいい男のコが多い。いまだと最高で28歳かな。店の中にいる30代って俺くらいですね。いま気づきました(笑)。
顔面レベルが一定ラインを超えていないと入店は難しかったり?
他店舗だったら「あ〜、このコどうかな。微妙だけどまあ入れよっか」となるようなレベルだったら入れないです。でも滅多にないですけどね。ALL WHITEに体入しようと思う時点でそれなりにルックスに自信のあるコたちが来ているのかもしれないです。
長くこの業界にいる薫さんから見て売れている人の特徴は?
『ヘルプが上手い』
ある程度継続して売れている人はヘルプが上手いですし、ヘルプが下手なコは一瞬売れてもその後が続かなかったりします。ヘルプで一番好かれるようなコ、このコがいてくれたら安心、みたいな存在になれるコも売れていきますね。接客業は人を楽しませようという気持ちが強い人ほど仕事ができるんだなと感じます。
『自分の武器がわかっている』
自分の強みが何かをちゃんと掴んでいる人は安定感がありますね。逆に自分の武器がわかっていない人はカッコいいのにいまいちパッとしないことも。見ててもったいないなと思ったときには、どこが強みかを伝えたりはします。こういうところを伸ばしていったらもっといいんじゃない?って。
『ぐいぐい入っていける』
遠慮がないとも違うんですけど、押すべきところでぐいっと入り込んで距離を縮めるポイントというものがあって。売れている人はそれを掴むのが抜群に上手い。その勘所を間違えるとしつこいとかウザいっていう印象になっちゃうんですよ。紙一重なところなんですけど大きな差ですね。
付け回しもするとおっしゃってましたけど、ホストクラブの付け回しではどんなところがポイントになるんですか?
まず第一にお客様ファースト。そこを基点にして全体を組み立てていきます。お客様が席に1人になる時間を『オンリー』っていうんですけど、その時間帯を1分でも作らないように。といってもコール中にはどうしてもその時間帯が発生しちゃうんですけど。
売れっ子の人から「あの席は何分、この席は何分」とか配分のオーダーをされたりは?
言わせないです(笑)。みんなが回りたいタイミングで回っちゃうとどこかに損をする席が出てくるので。フロア全体を一番見ることができるのは付け回しをしている人間なので、「君はそういうふうにしたいかもしれんけど、全体のバランスもあるからね」と諭しつつ回してます。
でも、言うこと聞くコもいるし聞かないコもいるしいろいろです。「はい!」と言いながら違う席に行く子もいるし(笑)。そういう動きも考慮しながら全体が上手くいくように調整しています。
付け回しって大変。脳の普段使わない部分を使ってそう…。
こればっかりは一回ちゃんと売れたことがないと難しいかもしれないですね。ただ空いているところに回せばいいわけじゃないので。お客さんの気持ち、キャストの気持ち、全体の流れ、そういうもの踏まえながらベストな配分で回していかないと混乱を招いちゃう。付け回しに関しては他店の店長に負けない自信があります(笑)。
戦略的に早く席を抜くとか、そういうこともあるんですか?
全然ありますよ。仮に初回もいなくてずっと指名の席に着いていられる状態だったとしても、あえて外してヘルプに回ってもらったりします。
自分の中で「満足度70%」って目安があるんですよ。100%にしないっていう。お客様は100%にすると満たされちゃうんですね。それで次につながらなかったりするので。もちろん70%を下回ってもいけないですし。付け回しをするときもそこは考えてます。
70%はお店以外でも?
すべてにおいてそうですね。楽しさも満足度も70%。「まだいたいのに」くらいで、じゃあまたねってなるほうが次につながりますよね。アフターで朝まで付き合うとかもおすすめできない。適度なところで帰さないと。
このお客さんトラブルを起こしそうだなとかわかったりします?
フロアを見ていてなんとなく使い方が危ないなって気になったときは、担当にちょっと声掛けておいたりはしますね。「売掛になっちゃわない? 大丈夫?」って。100%ではないけどそういう勘って当たるので。自分も現役時代は売掛飛ばれたりしているし、そういう経験を経てみんな学んでいきますけど、飛ばれないに越したことはないですからね。
店長をやっていて嬉しいこと、辛いことは?
キャストとは一回りも違うわけですけど、みんな明るく接してくれるので日々嬉しいですし、「薫さん飲んでよ」って席にも呼び込んでくれるとか店のコたちに必要とされるときは嬉しくなっちゃいますね。
大変なことはいろいろありますけど辛いことはそんなに…。ただ、キャストが辞めていく流れを止められなかったときは病みます。気持ちはわかってあげられるけど、店としての秩序を守ってやっていくとなるとすべて聞くことはできないだよ…みたいな。
プレーヤーに戻りたくなることってありますか?
ちょいちょいありますよ(笑)。キラキラしているコたちを見てると現役っていいなあって。今年、プレーヤーを上がったAIR GROUPのおじさんズで一夜限りの合同イベントをやったんですけど現役時代を思い出して燃えましたね。
各店と個人が合同営業で売上を競う『エアグルHEROES』っていうバトルイベントがあって、今年は1st、2nd、3rdまでリーグに分かれて開催されたんですけど、それが終わったときに「おじさんたちで4thをやります」というアナウンスがあって。
レジェンドたちが集結!
その日1日だけでお客さん80組くらい来てくれました。待ちも発生しながら回転回転で。おじさんたちの力ヤバいと思いましたね(笑)。みんな力持ってるんだな〜って。
デキる内勤さんの特徴は?
すべてにおいて“気づけること”。内勤は注意力が高いほうが本人も仕事がやりやすいと思います。パッとフロアを見回して電球が切れてることに気がつくとかゴミが落ちているのに気がつくとか、些細な変化や違和感に気づく注意力が気遣いにつながるので。
注意力が高い人はホストとしても仕事ができそうですね。
あったほうがいい能力ではあります。ただ、ホストの場合は違う才能でも勝負はできるので必須ではないですね。
プレーヤーを見ててもなんとなくあるんですよ。このコ内勤向きだなって。ホストとして結果が出ているときには何も言わないですけど、僕の中では「適正があるな」と思って見ていて、うまくいかない時期が長く続いて本人も疲れてきていそうなときに声掛けたりはしますね。「こういう道もあるよ」って内勤にスカウト。それで試しに内勤をやってみたら驚くほどできて、本人も「こっちのほうが合ってました」とか全然あるので。
薫さんの店長としてのミッションは?
店舗の売上を上げること。これは運営陣全員の目指すところですね。特にALL WHITEはグループの中でも年間1位になって当然と見られている店でもあるので。
ライバル店は?
やっぱりRYHTHM(リズム)じゃないですか。(一)秋とあさやをはじめキャストに勢いがすごくあるし、店舗全体としても波に乗っているので。今のところ店舗としても負けているので頑張らないと! 分店して弱くなったとかも言われたくないですし、そこを言い訳にしたくない。
代表だった流川 楓さんが新店『ALF(エルフ)』をオープンしましたもんね。ALL WHITEからは何人くらい移ったんですか?
15人くらい。ここからまた人を増やしてスターを育てていくっていうのが、今の一番大きい課題ですね。
薫さん個人としての展望は?
今のこのぐらいのポジションが合ってるなと思うので、ずっと店長でいられたらいいですけどね。下がりたくないけど上がりもしたくない(笑)。自分は現場に出てキャストに絡んでお客さんに絡んでってやってるのが好きなので。そのほうがお客様とも仲良くなれるしキャストとの仲も詰められるので。お酒も好きだし(笑)。店での立ち回り方って店長によって違うと思いますけど、僕はホストクラブのフロアにずっといられたらいいなと思ってます。
プレーヤーたちが日々しのぎを削るホストクラブ。そこにはもうひとつのドラマが! そう考えると内勤さんの動きにも注目してみたくなりますね。お話を聞かせてくださったALL WHITEの薫さん、ありがとうございました♡
<RECOMMEND>
こちらの記事もおすすめです。
個人店最強のホストクラブ『VELVET』代表・ロイ 「美しい売り方を」新天地での...