メゾンドボーテの取材を通して気づいたこと、それは、「売れている人には読書家が多い」という事実! みんなどんな本を読んでいるのか、改めて知りたい…ということで、“キャバ嬢と読書”というテーマで企画化しました。
記念すべき第一弾としてお話をうかがったのは、子供の頃から読書っ子な歌舞伎町『レヴュー』のことみさん。こっちゃんの読書傾向や、読書体験など、本にまつわるお話も挟みながら、おすすめ本をご紹介して頂きました♡
ことみさんの読書傾向は?
オールジャンルです。気になったらなんでも読むし、人が勧めてくれる本も一度は目を通すようにしてます。「これ、いいよ。読んでみて」ってお客さんから本をもらったりもするから。そういう場合はビジネス書が多いかな。
最近読んで面白かった本は?
最近だと『ルポ歌舞伎町』がめっちゃ面白かったです! 著者の國友さんっていう人がすごいんですよ。この人は、そこで暮らしながら体験したことを書くスタイルのルポライターさんで、これまでにもホームレスの人たちと一緒に生活してルポを書いたりもしていて(『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』『ルポ路上生活』)。この本も、実際に歌舞伎町の×××××マンション※に住みながら、いろんな噂をたどっていくっていうルポで、私の知らない歌舞伎町がありました!
※×××××マンション:漫画『殺し屋1』の舞台にもなった通称ヤクザマンション。エントランスの動物の像がトレードマーク
×××××マンションって、ヤクザマンションで有名なとこですよね。ほんとに実在するんですね!
ありますよ。人も住んでます。そのマンションの横にちっちゃい喫茶店があるんですけど、その店、窓際にすっごい本が積み上げられていて、中が見えないんですよ。それはヤクザの人がよく来るからだって言われてますね。
ことみさんこういう本も読まれるんですね。
私、割とアンダーグラウンド系のルポをよく読むんです。知らないことを知りたいみたいな感覚で。ヤクザとか薬とか、人生において関わることがない世界だから。
歌舞伎町で働いているからといって、アングラな世界に詳しいわけでもない?
私の世界が狭いだけかもしれないけど、「本当にそういうのあるの?」って思ってます。逆に、「え、知らないんだ!」みたいな驚かれ方をよくする。そういう世界に縁がないんですよ。
非合法なことって、縁がないと本当に縁がないですよね。都市伝説感覚というか。
マジでそういう感じ。「薬やってる子が周りにいる」とかもないから。夜の世界にはいろんな恐ろしいことが本当にあるらしいけど、私的には噂でしかなくて、実際には知らないんですよ。平和に暮らしてんだなぁって思います。
今日は、『孫子の兵法』『7つの習慣』『超訳ニーチェの言葉』と3冊持ってきて頂きましたが、チョイスにテーマはあったりしますか?
全部、人生において「役に立つ!」っていうところで選んできました。
『孫子の兵法』読んでる。ちょっと意外!?
『孫子の兵法』はめちゃくちゃ役に立ちます。キャバ嬢さんだったら絶対読んだほうがいいと思って持ってきました。
孫子との出会いは?
グループレースで初めて1番をとった頃ですね(2019年)。その当時、いろんなレースがあって、にゃーちゃん(コラムにも度々登場することみさんの太客様)に助けてもらったりしながら勝ち続けていたんだけど。あるときにゃーちゃんに「こっちゃんの戦い方は『孫子の兵法』みたいだね」って言われたの。「え、なにそれ?」って、気になって読み始めました。
どんな勝ち方をしてたんですか?
もうレースに出ないから言っちゃうけど、そういうとき私は割とこう…、コソコソしてたんですよ(笑)。ズルをするとかそっちのコソコソじゃなくて、「ちょっと調子悪いかも」みたいな気配で、最初は抑えて抑えて、ギリギリ最後でバーンッと売るみたいな。だから、周りからしたら「あれ?なんで?」っていう。
これ、孫子の兵法的に、「最初は自分を弱く見せて、その間に力を蓄えて準備を整え、相手が油断したところで一気呵成に追い上げて勝つ」みたいな戦い方に当てはまるんですよ。そうとは知らずにやっていたわけだけど。
孫子の兵法って負けないための戦い方なんですよ。「戦わずして勝つ」、「勝てない勝負はしない」そのへんがベースにあって。そのためにじゃあどうするか。まず相手を知るとか、油断させるとか、自分が勝てる土俵に引っ張り上げるとか、実践的な勝ち方のノウハウが満載なんです。だから、レースだけじゃなく、お客さんをどう攻略するか、どう売上を上げるか、こんなときどうするか、いろんな場面に当てはめながら考えられる。みんなぜひ読んでください!
ちなみに、今日持ってきた本の前に、電子書籍で『図解 眠れなくなるほど面白い 孫子の兵法』も読んだんですけど、これめっちゃわかりやすいのでおすすめです。ページ数も130ページくらいで短いし面白い!
2冊目は『7つの習慣』。これは自己啓発の名著っていわれてる本ですね。
そうそう。「こういう生き方を習慣にしていったら、幸せになれますよ」っていう本ですね。これは5年くらい前かな、キャバクラに復帰するときに一回読んだんだけど、もう一度学び直そうと思って再読中。でも、マジで内容忘れてるから、持っては来たものの、語れることがまだない(笑)。
何か学び直したくなることがあったんですか?
ガールズバーを始めるにあたって※、一回読み直しておこうと思って。キャバ嬢は個人で頑張ればいいだけだけど、お店をやるってなったら、人に何かをお願いしたり、周りの人の力を頼ってやっていかなきゃいけないから。周りの人とどう関係性を築いていったらいいかってところを学びつつ、人格も磨いていこうみたいな。
※最近ガールズバーをオープンさせたことみさん。詳しくはこちらのコラムへ
5年前に読んだときは、「この本、誰でも知ってるレベルですごい有名だし、経営者の人は結構読んでるから、一応読んどこうかな」ぐらいの軽い感じで手に取ったんだけど、「そうなんだ!」っていう発見があったことだけは覚えてて。それを取り戻したくて読み直してるの。
お次はニーチェ。
これ、ニーチェの言葉が超わかりやすく、且つ人生に落とし込みやすい形で解説されている本で、にゃーちゃんにもらいました。この本の良いところは占い的に使えるところなんですよ。
占いができるんですか?
そう、ニーチェ占い♡ たとえば、何か悩んでるとするじゃないですか、そういうとき手に取ってパラパラっと適当に開いてみる。適当に開いたところを読むと、その言葉がそのときの自分にしっくり入って来るっていう。別に悩んでなくても、普通にパラパラめくって出たところをお告げとして受け止めてみたり(笑)。
今、必要なお言葉がそこにあるみたいな?
そんな感じです。この本って、全部を通して一つのつながりで語られているわけじゃなくて、1ページに1つずつニーチェの言葉とその説明が書いてあるんですよ。全部で190本。お告げが190個あるみたいな。ちょっと試してみてください。
やってみますね……。おっ、『人生を最高に楽しむために、始めるから始まる』が出ました。
ちょっと内容も読んでみてください。
わ、なんかすごい響きました。今、先送りにしていることがあって、いつも気にかかってるんですけど、やらなきゃ始まらないって気持ちになって来ました。これはやれってことですね。
ね、いいでしょ! 「あぁ、そうだな〜」ってなぜかめっちゃ腑に落ちるんですよ。見開きに2本入ってるから、先に目に入ったほうをお告げとして読んだりしてます。
ニーチェ占い、いいですね! こういう使い方は誰かに推奨されたんですか?
本をもらったとき、「どこから読んでも、どこ読んでもいいからね〜」って言われたんですよ。あ、そうなんだって思って、それから適当にパラパラ読んでたんですけど、そしたらその都度、そのときの自分に響くものがあって。いつの間にか占い感覚で使うようになってました。
ことみさんって小説は読みますか?
読みますよ。小説っていいよねぇ。その一冊で世界が完結する感じが、なんかいい。
好きな作家は?
いろいろ読みますけど、昔から恩田陸が好きでよく読みます。最近だと『愚かな薔薇』が面白かったです。ずーっと前に読んだ、『麦の海に沈む果実』も好きだったなぁ…。あれ? 好きって言いながら内容をちゃんと思い出せなくて、上手く説明できない(笑)。読んだときにこれめっちゃ好きだって思ったのにな。
感触だけ覚えてて言語化できないってありますね。
なんだろうね。面白い小説ほど、わーって一気に読んじゃうから、あっという間に忘れ去ってしまうのかもしれないw
本っていつ読んでるんですか?
タイミングを見つけて暇なときに読んでます。本も読むし漫画もめちゃくちゃ読むから、毎日何かしらは読んでる。一日のうち、20分でも本を読む時間を作ると幸福度が上がるらしいですよ。
読書の効能といえば?
知らないことを知れる。言葉も覚えられるし知識も増えて話題の幅が広がる。いいことしかないのでは? 表現力とか、文脈をちゃんと読む力も身につくから、トーク力も磨かれる気がします。読書してきてる人ってやっぱ話が面白い人が多いし。
会話の構成力みたいなものもつきますよね。ストーリーを作る力がつくみたいな。 言いたいことは一緒でも、伝え方とか話す順番、表現とか、諸々で相手の受け取り方って変わってくる。いきなり「シャンパン入れてよ」って言われるより、「そういえば来るの久々じゃん。いつも1カ月に1回は来るのに。もう2カ月来てないってことは、じゃあシャンパン2回ぶんだねー(笑)」みたいな。なんかちょっと肉付けして、面白く言われたほうが楽しいってあるし(笑)。
確かに!
それと、その時期読んでる本の傾向で、自分が求めているものが知れたり、自分の状態がわったりするのも面白いですよね。私だったら今、ガールズバーを始めたから、経営に関する本を読む率がめちゃくちゃ高くなってるし。まあ、それはわかりやす過ぎる例だけど。
自己啓発の本ばっかり読んでるときは、「あ、自分を変えたいと思ってるんだな」とか。
そうそう。あと、シンプルに心の状態もわかる。小説とかいっぱい読んでるときは、「ふむ、今の私、心に余裕があるな」って思ったりする。逆に余裕がないときは、じっくり読む系の重厚な本は読めなくなる。疲れちゃうから。手に取る本で精神状態がわかる。読書にはそんな効能もありますね(笑)。
本、いいですね♡
いい。まあでも、興味ないのに無理して習慣にする必要はないのかな〜とも思う。そのときが来たら、人って本を読むから。自分がこうなりたいなとか思ったら、そういう本を探して読んだりとかするし。そうやって自然と入っていくのがいいんじゃないかな? 「ふと、気になって、その本を手に取ってみた」、そういう出会いから読書の世界って広がったりするしね♡
ことみさんの本のお話いかがだったでしょうか。『ルポ歌舞伎町』や『孫子の兵法』など興味深いラインナップでしたね。ニーチェ占いもぜひお試しを!
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