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夜の偉人伝!カリスマホスト咲夜涼~後編~10億を稼いだ“心の読み方”

夜王バブルの生き証人・咲夜涼さんにインタビュー!

現在は大阪ミナミの『ings(イングス)』でプロデューサー兼広報をされている咲夜さん。山あり谷ありのホスト人生を振り返った前編に続いて、後編ではホストの命題“接客術”に迫ります。現役時代の総売りはざっと10億円。ホスト界最強といわれたコミュ力はいかにして磨かれたのか。心を掴むテクニックを解き明かします。

咲夜涼(さくやりょう)
生年月日:1983年9月3日/血液型:A型/身長:178cm/出身地:大阪府/在籍店:ミナミ『ings(イングス)』プロデューサー兼広報/年間最高売上:1億6000万/月間最高売上:2,800万/座右の銘:「笑売繁盛、有言即実行」

現役時代、1日必ず40万を稼いでいた咲夜さんの接客スタイルについて教えて下さい。どんなテクニックを駆使していたんですか?

僕の場合はトーク力がすべてでした。今の時代は普通っぽさもセールスポイントになりますけど、僕はもうとにかくトーク力を磨くことだけ考えていました。とにかく笑かせる。エンターテイナーになるために全力でした。

トーク力って磨けるんですか?

誰でも磨けますよ! 少し意識するだけでも全然変わりますから。僕の場合は起承転結とメリハリをつけたトークを心かけていました。必ず会話にオチをつけるっていう。駆け出しの頃は落語聞いたりとかもして勉強していましたね。

落語を聞くと話が上手くなるって言いますよね。

そうなんですよ。18歳で某大阪Aに入店したとき、接客のノウハウを教えられる中で「落語を聞きなさい」とかそういう教育もされて、僕は真面目にちゃんと聞いてました(笑)。話の運び方、間の取り方や盛り上げ方、そういう部分で参考になるところは多かったです。

当時のホストはオラオラ全盛期、煽って煽って高いボトル入れさせるみたいなイメージがありますが?

そういう時代でしたね。ただ、場を盛り上げで煽るのはテクニックなので、馴れれば誰でもできるんですよ。そこから自分の持ち味をどう見せていくかというところで、しっかりお話をしたいほうだったので、僕は会話力を重視してました。どんな場面にも対応できるような接客力とか。接待の場でも通用するくらいの接客力は身に着けたくて。臨機応援に対応できるように話題も常にストックしていました。

話題のストックは毎日更新?

してました。席に入るときに「ちょっと聞いてくださいよ」って言えるような話、つかみの話は毎日ないといけないと思っていたので。「今日、こんなことあったんですよ」って話せるように新しいトピックを毎日準備していました。

どうやって毎日新しい話題を?ネタが尽きそう…。

まずは情報量ですね。テレビでも雑誌でも身の回りのことでも、とにかくいろんなものを見て聞いて情報を入れ込む。アンテナを張っていれば話題に事欠くことはないですよ。その上で面白く話す技術も磨く。

面白く話すのも技術なんですね。

9割技術だと思います。まず、自分がこれは面白いと思った出来事があったら。起承転結とオチを意識してそれを何回も何回もしゃべる。お客さんにも話すし従業員にも話すし。とにかく繰り返し話すんです。

繰り返し話すことにはどんな意味があるんですか?

一本のネタを作るつもりで話の展開を練り上げるために話すんです。その話をして1回目は面白くなくても改良を重ねていくと10回目には面白くなったりするので。話の構成を変えたり、テンポを変えたり、盛るポイントを変えたりしながらひとつの話を完成さていくんです。練り上げていくとなんてことない話も面白くなるし、ちょっとした話をめちゃくちゃビックリするような話にすることもできるので。

話し方しだいで普通の話も面白い話にできるみたいな?

そういうことです。どう話を組み立てれば引き込めるか、そんなことばっかり考えてます。

どうなったら面白くなるかなあという目線で世の中を見ているというか。この展開、こうなったら面白いのになあと妄想したり。

こうなったら面白いというとたとえば?

これさっき見た光景なんですけど、おばあさんが白いマルチーズを散歩していて、そばにコンビニの白いゴミ袋が落ちていたんですね。それで、犬と間違えてコンビニ袋を抱っこしたら面白いのになあとか思いながら見てたんですけど。そういう感じですかね。

そんなこと考えながら世の中を見ているんですねww

現役時代のクセなんですかね。無意識のうちに話のネタを探してるんです。未だにテレビを観ていても純粋に楽しむんじゃなくて、この情報を接客にどう使えるかなって常に思いながら見てる。職業病ですね多分。

のんびり気楽にテレビを観るってことはない?

ないですね。そんな話をするとみんなに「しんどない?」って言われますけど、それが普通になっているので。バラエティもドラマもニュースも映画もみんなホストとしての視点で見てしまうんです。服を選ぶにしても自分の好みより、これを着ている自分は店の中でどう見えるかで判断しているかも(笑)。

会話もファッションもホスト目線。

もう気を抜いてもいいはずなのに(笑)。僕は話術をマニアックに追求しちゃってましたからあれですけど。場が持つ程度に話せるようになるにはとにかくちょっとした情報のストックがものをいうんです。それは心掛けておいて損はないですよね。

話しベタなら聞き上手になるという手もありますか?

それもいいですね。ただ、聞き上手を発揮するためには相手から話を引き出すために話題を振る必要がありますよね。共感が伝わるような上手い返しや相槌を打つことも大事になるし。なんだかんだやっぱり話上手なほうがいい。情報は入れ込んでおいたほうが得。

現役時代、理想としていたホスト像は?

接客力と営業力、ともにズバ抜けているオールラウンドプレーヤーを目指していました。誰でも自分の売りってあると思うんですよ。イケメン売りだったり、芸人的なおもろさで売っていたり、色恋がやたら上手かったり。それによってお客さんの得意不得意も出てくると思うんですけど、自分は全部のジャンルでいけるホストが理想でした。着いたお客さんは全部すくり取りたいと思っていたので。

全部ですか、欲張りですね!

すくい取ってもお客様として定着する前に店に来なくなる人もいっぱいいますから。網の目からこぼれ落ちていく人も想定して最初にいっぱいすくい上げておく。僕はお客さん1人1人と連絡を取るという点ではマメではないので、少数のお客さんに全力を注ぐやり方よりも、毎日コンスタントに大勢のお客さんを接客するほうが得意だったので。そのためにもとにかく間口は広く。最初はガーッと全部すくい上げる方式でした。

話はそれますが咲夜さんといえばシャンパンコール。「外で会ったら私服がダサイ」とか、核心を突いた“ホストあるあるコール”が秀逸でしたよね。しかも代表なのに率先してマイクを握っていた。

ホストあるあるとかむっちゃ考えましたねww 従業員全員にあるあるネタ1コずつ持ってきてもらったりもして。そもそもは大阪A時代にマイクリーダーをやっていて、その流れで東京Aの代表になってからもやっていたというだけなんですけど。「代表なのにマイクリーダーをやってるんだ」というところで当時評価された(笑)。

咲夜さんは接客する上でどんなところに気をつけていましたか?

「自分が自分が」とはならないように気をつけていました。卓の中心にはいるけど会話を回す役割というか。みんなに話を振って、話を戻して、全体の会話を盛り上げつつオチは自分でつけるとか。美味しいところは自分が持っていくように。あとは接客に緩急をつけることとギャップの演出は意識していました。

緩急とギャップの演出ですか?

お客さんの感情には波があるんですよ。わあっと上がっているときがあれば少し下がるときもある。その波とリンクして心の距離も近づいたり離れたりしているんです。なので感情の波と心の距離感を見極めながら押すところは押して引くところは引く、そういう緩急をつけて接客をする。ギャップの演出はお客さんとつき合いがまだ浅い頃の演出ですね。スッと別な一面を見せたり意外性のあることをしたり何かしらアクションを起こすと、もう一段階距離が縮まったりするんです。

ちなみにギャップを見せるタイミングは?

飽きられもせずガッカリもされず期待もされずのときです。感情の波でいったらフラットなときっていうんでしょうか。知り合ったばかりのときは感情の波は上がりますよね、それが少し落ち着いて、メモリでいったらゼロに近づいたときというか。プラスにもマイナスにも振れていない平常心みたいなのときがあるんですよ。それがギャップを演出するタイミングです。ここで勝負をかけると心の距離はぐっと近くなる。このタイミングを見逃すとお客さんはスッとフェイドアウトしていきがち。

見極めがめちゃくちゃ難しそうです!

ギャップを見せる場合に限らず、なんかあるんですよね「今や」ってときが。「シャンパン煽るの今やで!」っていうタイミングとかね。でもその「今や!」は、「今やで!」って言ったときには、もう“今”じゃなくなってるんですよ。お客さんが気持ちよくなって「もう1本」っていうタイミングは、はたから見ているだけでわかるんですけど、それを教えたときにはもう今じゃないんですよね。でも、キャバ嬢でもホストでも売れている人ってタイミングを掴むのが上手いですよね。意識していなくても相手の感情の波と距離感を的確につかんでいるんだと思います。キャバクラやホストクラブに接客マニュアルや教育システムが確立されないのは、多分そういう感覚的な部分が売り上げを左右する割合が大きいからやと思います。「今や!」っていう感覚はお客さん1人1人で違うので、お客さんごとにマニュアルが発生しているようなものなので。

参考までにギャップ見せの具体例を教えてもらえますか?

たとえば僕が代表になりたての頃って22歳とかで若くて、代表なのにシャンパンコールでマイクリーダーもやっちゃうみたいな。何ならちょっとアホっぽい感じやったんですよ。とにかくやたらノリがよくてチャラいみたいな。そういう印象をどっかのタイミングでガラッと変える。真逆な面を見せるみたいな。普段店ではバカやっているのに、外でごはんを食べたらまともな会話をするとか。そうすると、「ああ、店では仕事でバカやってるんだな」ってことが伝わって、一気に好感度が上がったりする。どうギャップを見せるかはお客さんによって違ってきますけど、そもそもの期待値を下げておけば後は上がりっ放しなんで、最初のイメージはマイナス100くらいまで下げておくように。そこは割と計算でやってました。

あえて期待値は下げておくww

こいつ大丈夫かなって(笑)。期待値が低ければ、当たり前のこと言うだけでも相手にとっはプラスになるんですよ。

でも、マイナス100から入ったらお客さんに選ばれない可能性はないですか?

そこは大丈夫。期待値と好き嫌いは別ベクトルなんで。期待値下げつつ嫌われないようにすればいいんですよ。

感情の波を読み取ったり距離感を感じ取ったりするのは訓練で身に着きますか?

意識していたら絶対わかるようになると思います。心を寄り添わせながら人を見ていたら。自分の場合は育った環境的に、親の顔色をうかがいながら生きてるような子供だったんで年季が入ってますけど(笑)。両親が離婚だなんだで揉めて、親父も途中でいなくなったりもして。不穏な空気の中で育ったんで、相手の表情や声の調子、視線、ありとあらゆる微妙な変化から状況を察知する能力が身に着いてしまってww

それが接客という職業で生かされた。

おかんの様子見て言葉を選んだりしていたんで、女性に対して敏感なところありますよね。これ言ったら傷つけるとか、これ言ったら喜ぶとか、なんかそういうのわかるんです。それがたまたま仕事になった。だからある意味ホストは天職だったのかもしれないですよね。

知り合ったばかりの人だと、どんなことで喜んだり怒ったり傷ついたりするかわからないですよね。読み違えて失敗してしまうことは?

考えていることがわかるわけではないので探り探りですよね。だからあんまり読み違えない。読み違えても修正可能というか。失敗するのは100点取りに行こうとするからじゃないですかね。好かれようとするから下手打つんだと思います。僕は好かれるじゃなくて嫌われんようにしようというところがスタートなので。

好かれようとせず、嫌われないようにする?

相手と距離があるうちはとにかく嫌われない術(すべ)を探す。100点か0点かじゃなくて50点をとりに行くんです。どっちでも行けるようなニュートラルな状態を目指します。

100点とろうと思ってぶっ込むと大失敗しちゃって0点になることもありうる?

そう。やり過ぎちゃう。はじめましてのとき僕はわざわざ好かれようとはしないです。嫌われないように安定を取るだけで。で、次指名で来てくれたときも安定を取る。まずは50点をキープ。50点を取り続けてそこから先は自分の個性。スパイスを効かせていく場面。

指名が欲しかったら最初からギラついてしまいそう。

好かれようとする姿勢って余裕がないんで相手は何となく居心地悪くなったりするんですよ。好かれたいって自分の都合じゃないですか。そうじゃなく相手の様子に気を配って居心地よく楽しく過ごせるように配慮する。やるべきことってそれだけなんですよ。それが出来ていたら嫌われない。心地良いと感じたらまた来てくれますから慌てなくてもいい。それで毎回50点をキープしながらちょっとずつ自分の個性を出していく。それで少しずつ近づいてもらえればいい。

でも、考えてみたら普通の人間関係もそうかも。初対面から好きなんて一目惚れくらいですよね。

お客さんにとっての適正な距離を守る。そのときの安定を取る。そのときそのときで安定ってあるんですよ。はじめましてのときの安定もあるし、シャンパンをおろしてくれるときも安定があるんです。その安定を崩して「もう1本!」って欲を出すと相手は「煽られた」って思ってしまう。、もちろん煽るべき場合もありますよ。もう一本入れたい気分のときに背中を押すみたいな。でもそういうときお客さんは煽られたとは思わないんです。

安定を見極めるのもまた難しそうですね。

そこがホストっていう仕事の醍醐味というか。お客さん1人1人その安定って違いますから、それを知っていく課程が楽しいしやりがいを感じる部分。人を知っていくことがホストっていう仕事なんだと僕は思います。

ホストって深い…。

僕はそう感じているという話ですけどね。お客さんがそれぞれ違うように、ホストもそれぞれ違うので。やり方もやりがいもみんなそれぞれ。間違いってないんですよね。もし今売れていなくても、そのやり方が間違っているわけではないので。何かが足りないとか、売れない原因があるだけでやり方そのものが間違っているわけじゃない。その点がまた人材育成という点で難しいところなんですけど。こうしたほうがいいよというアドバイスが誰にでも当てはまるわけではないし、今日上手くいったやり方が明日も上手くいくとは限らないので。今、プロデューサーとして人や店を育てる側にいるわけですけど、プレーヤーとして自分が稼ぐほうがよっぽど簡単だなと思います(笑)。

咲夜さんにとってホストとは?

僕は、ホストは究極のヒューマンビジネスだと思っています。こんなに面白い仕事はなかなかないと思う。いまは第一線のプレーヤーではないのお客さんを通して仕事の面白さを感じることは減りましたけど、そのぶん従業員のホストのコたちと向き合っています。このコは何を求めて入ってきたんだろう、このコはどんな自分になりたいんだろう、そういうことを考えながら、少しでも伸びることができるように。ホストのという仕事の面白さを感じられるように後押ししていくことが今の僕のやりがいですね。

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