どんな売れっ子キャバ嬢でも、その存在なくしては輝けないのがキャバクラの黒服という存在。そんな黒服さんに聞く、人気店の作り方、売れる女のコの育て方とは? 努力家キャバ嬢として知られる天乃えまさんの担当でもあり、このたび『OVERTURE』の店長からFOURTY FIVEグループの統括となった※刀根さんにお話をうかがいました!
※本取材後に『OVERTURE』店長→グループ統括に就任
【刀根賢将さん(27歳)】
『FOURTYFIVE』『OVERTURE』統括。前職は不動産の営業&リゾートバイト。黒服歴4年。『FOURTY FIVE』を経て『OVERTURE』オープンと同時に店長に、2022年10月よりグループの統括に就任。天乃えまさんをはじめ担当キャストは10人ほど。
刀根さんの黒服キャリアのスタートは?
FOURTY FIVEです。ウェイターから始めて付け回しを覚え、担当のキャストさんを持つようになって、2020年にOVERTUREができたときに店長になりました。
お店ではどんな仕事を?
お店全体を見ることと普段の担当業務ですね。担当として最低限やることは出勤確認と、キャストさんが気持ちよく働いてもらえるようにモチベーションを上げること。仕事、プライベート関係なく悩みを聞いたりっていうこともします。
モチベを上げるためにすることは?
一緒に目標を作るっていうことはしますね。目標を立てて達成するためにどうしていくか。現状こんな感じだからこうしていこうかっていう感じでコミュニケーションを取りつつ方向付けていきます。
目標は担当とキャストさんの間で決めるんですか?
ある程度はそうですし、お店の会議で売り方の方向性を話し合ったりもしてます。「このコは今こういう状態で何を目指してどう頑張っているか」っていうところも会議で話して、スタッフ全員で共有してバックアップできるようにしています。
ただ、「やるか、やらないか」、そこはそのコしだい。どれだけ言ってもやらないコもいるし、放任して欲しいコもいるので。やるコに対してモチベーションが下がらないように、楽しく働いてもらって伸ばしていくっていうスタンスですね。
ちなみに会議って週に何回くらいするんですか?
毎週、月・水・金の3回。大体夕方くらいから1時間程度。トラブルがあったらそれが次起きないようにどう改善するかとか、会社の幹部も交えていろいろと話し合っています。プロデューサーの(愛沢)えみりさんや(一条)響さんが出席する会議や、えみりさんの会社でSNSの運営について話し合う会議もあります。
お店として「このコを推していこう」みたいなことも話し合ったり?
ありますよ。それこそ今日もえみりさんから、これから頑張ってもらいたいコについて話をされたところでした。
店から推されるコってどんなコですか?
やっぱりキャバ嬢として頑張りたいと思っていて、そのための努力もできるコっていうのは最低限の要素。キャバ嬢をしている目的ってそれぞれ違うので、昼職と掛け持ちだから夜はそこそこ稼げればいいやっていうコに、「お店の看板になれるように頑張ろうね」と言ってもそんなに刺さらないじゃないですか。キャバ嬢として有名になりたいとか、ある程度そういう野心を持っているコじゃないとってとこはありますね。
売れるようにしていくには?
そのへんが具体的な目標になってくるんですけど、漠然と「もっと頑張ろう!」とかではなく、何をどうすれば達成できそうかを伝えるようにしますね。今、売上はこんな感じで目標に対してこういう状況で、単価はこれくらいで来店頻度はこのぐらいだから、あと○組呼べるかな? といった感じで。どこをどう伸ばせいいかをわかりやすくするためにも、数字とお客さん情報はある程度把握してますね。
刀根さんは『OVERTURE』看板の天乃えまさんも担当されていますが、担当から見てえまちゃんはどんなコですか?
めちゃくちゃ負けず嫌いでガッツがある。レスポンスも速くて営業もマメ。努力家ですよね。そして何より明るくて愛嬌があります! えまさんくらい愛嬌があるコはなかなかいないと思います。
お客様やスタッフの前ではいつも笑顔ですしね。何か嫌なことがあったとしても顔に出さない。いろんなお客様がいらっしゃいますけど、どのお客様に対しても同じように感じの良い対応ができる。だから売れてるんだと思います。
以前、えまさんのお仕事ルールとして「お客様と目が合ったらニコッとする」というお話を聞きました。(『天乃えま5つの掟』コラムより)
ほんとにそういう感じです。お客様と店内ですれ違うときも笑顔で会釈してくれますし。なかなかそこまで気を回してくれるコっていないですよね。お店全体の雰囲気も明るくしてくれてます。
担当として思い出深い出来事といえば?
一番最初のバースデーイベントですね。えまさんが入店して半年くらい経った頃に担当を受け持つことになったんですけど。えまさん自身もフォーティーの(藤澤)せなさんのバースデーを見て「自分もイベントがやりたい」と闘志に火がついたタイミングでもあって。「じゃあ、せなさんに負けないくらいのバースデーイベントにしましょう」と目標を立てて取り組みましたね。
バースデーに向けてはどんなことを頑張ったんですか?
えみりさんのアドバイスもあって、そこからお客様を増やすための連勤がスタートしました。えまさんとも「とにかくお客さんをたくさん作ろう」「満卓が途切れないくらいお客さんを呼んで、インパクトのあるバースデーにしよう!」という話をしてましたね。えまさんのキャラや性格的にも、一発ドカンみたいな売り方よりも毎日たくさんお客さんが会いに来てくれるようなコを目指したほうが、今後もっと伸びるだろうっていう見通しもあって。
連勤はバースデーまで160日くらい続いたんでしたっけ?
そうですね。イベント後も休むことなく。その後もずっと週6、7出勤。ほんとに頑張り屋さんです。
バースデーって一大イベントですけど、成功させるためにお店側はどんなことをするんですか?
イベントにお客様を呼ぶっていうのはもちろん女のコの仕事ですし一番大変なところなんですけど。当日、開き直ってもらえるように、「成功するから大丈夫だよ」と言えるところまで、集客や売上の見込みも含めて前々から準備をしっかりやっておきますね。
売上の目標も立てて?
このぐらいを目指そうっていう目標は先に設定して、このお客様の席に着いてどのくらい単価上がりそうかなっていうのをキャストさんと一緒にプランを立ててみて、「もうちょっと営業も声かけよう」とか、「この時間帯にもっと呼ぼう」とか、目標をクリアできる見通しをつけていきます。
それで、おおよその来店予定が立ったら自分の頭の中でバースデーを一回やっちゃうんです。お客さんがこう来て、こう動いていって大体売上はこのくらいだなとか。そこまでいったらあとはそれをやるだけ。
事前に割と緻密に詰めておくんですね。
そうですね。そこからはお客さんが本当にちゃんと来てくれるかどうか。そこで不安になっちゃうものなんですけどそこはもう信じるしかないから。キャストさんには、「これだけやったから大丈夫だよ」と言い続けますし、実際そこまでやれているので大丈夫なんです。準備は整っているからあとはイベントを楽しもうよっていう感じでやってきました。
売れてるコの共通点、売れるために必要な要素ってなんだと思います?
まずみんな自己管理がちゃんとできますよね。目的意識を持って仕事をしていて周りに流されない。夜の仕事ってブレない芯があるかどうかで変わってくると思います。ちょっと下がってきたときや頑張っても結果が出ないとき、ブレたり流されたりするとどんどん落ちていってしまうので。
特に歌舞伎町って遊ぼうと思ったら24時間遊べますし誘惑も多い街なので。よくあるんです。お店で仲良くなったコと毎日遊びに行くようになって、自己管理がおろそかになって仕事にも身が入らなくなっていくっていうパターンが。
そういうとき売れてるコは?
その時間をお客さんに使ったり自分磨きに使ったり。アフターがなければ早く帰って体を休めたりしてますよね。もちろん友達と仕事帰りに遊ぶこともあるだろうけど適度。仕事に差し支えるような付き合いはしていない。みんなちゃんとしてますね。そういうコだから売れたんだなとも思います。
女のコ同士仲良くするのもほどほどに?
流されないようにってことですね。遊びに走っちゃったコが他のコもどんどん引き込んでいって、そういうコたちで固まって遊び優先になっていくってあるので。仕事優先で適度な付き合いを意識したほうがいいよとは言います。これはお店の中だけに限った話じゃなく街全体で。
街全体で。
歌舞伎町って“歌舞伎村”って言われるくらい狭いコミュニティなんですよ。バーとかで飲んでるうちに知り合いが増えてつながっていくし、有名なお店に在籍していればちやほやされる。街を歩いてて「○○ちゃん」ってみんなから声を掛けられるようになると、自分はすごいって勘違いもしやすいし。そういう環境で遊びのほうに気がいっちゃうと自分の現実が見えなくなりやすいですよね。
気づいたら仕事が上手くいかなくなっていて売上が作れなくて病んだり。お店の環境が悪いんじゃないかと言って辞めて、結局また新しいお店でも同じことを繰り返して転々としていく。そういうコってたくさんいるので。
この話は、自分がこの世界に入ったとき“歌舞伎村の話”として、オーナーから聞いたんですけど、実際そうやっていなくなっちゃったコを何人も見てきたので。新しくキャストさんが入ってきたときには自分も最初にこの話をしますね。誘惑が多い街だから、ちゃんと芯を持って流されないようにって。
遊びに走っているなぁっていうのは見ててわかります?
わかりますよ。様子が気に掛かるとき、見てて心配なときには話をします。でも、そもそもそのキャストさんとの間に信頼関係ができていないと、言葉や心って届かないですよね。不安や悩みを抱えているとき向こうから相談できるくらいの関係性が築けていないと難しいです。
そのためにも日頃のコミュニケーションは大事にしています。仕事の話だけでなく、おはようとか何気ない雑談とか、普段の会話を積み重ねて「この人だったら安心できる、頼りになるな」と思ってもらえるように。それとキャストさんに対してのレスの速さ。すべての仕事につながる部分ですけど。そこも大事にしています。
見た目はもちろんとしてキャストさんの採用・不採用はどんなところで決まりますか?
面接のとき自分の場合は、お客さんになったつもりで会話をしています。初対面の人に対しても笑顔で愛想よく話せるか、会話が弾むか弾まないか、明るいか暗いか。そういうところを見てますね。
顔がかわいくても売れないコっていうのは?
話せなくて置物になっちゃってるとかですかね。お客さんは楽しみに来ているから。究極キャバクラは“感情”を売っているって思うんですよ。嬉しいとか、楽しいとか、好きとか、その感情をくすぐれるかどうかなので。
となれば話せるほうがいいし、雰囲気は明るいに越したことはない?
ですね。そのコの持っている雰囲気みたいなものは面接でも見てますね。面接中ずっと暗いコって、お店も転々としていたり素行が悪かったり何かしら不安要素を持っていることも多いので。
「お店を転々している」の転々はどのくらいの間隔?
どのお店でも入店して2、3カ月は保証期間ってあるんですね。どれだけ成績が悪くても採用した時給を保証するのでその間にお客さんを掴んでくださいねっていう。その保証期間が終わって飛んでるコっていうのは3カ月くらいで転々としていることが多いので。ある程度働いていてちょっとずつステップアップしていってるのがわかるコのほうが、採用する側としては安心感はありますね。
最後に、刀根さんが感じるこの仕事のやりがいは?
頑張ってきたキャストさんが思うような成績を上げられたときや、「ありがとう」という言葉をもらえたとき、お客様から「楽しかったよ」という言葉をもらえたときにはやりがいを感じますね。お酒の場なのでトラブルも多いですし、どんなお客様にもスマートに対応できるかといったらまだまだ課題はあるんですけど、問題を1つ解決するごとに経験値が少しずつ増えていくこともやりがいになっています。
僕は人と楽しく過ごす時間や場が好きで、そういう楽しい場を作る仕事をしたいと思ってこの業界に入ってきたので、女のコもお客様もその時間を楽しんでいるのが伝わってくるとすごく嬉しいですし、お客様に笑顔で満足してお帰りいただいたときにはすごく充実感があります。
女のコたちにもいろんな夢があって、その夢に向かって頑張っている姿を間近で見られるって素敵なことで、その努力が成績として数字に表れてくるのを見られることも喜びですよね。お客様を楽しませているのはキャストさんたちだけど、それをサポートするのは自分たち従業員。キラキラした世界をみんなで一緒に作っているっていう一体感が感じられるところもこの仕事の素敵なところだなと思います。
ときにキビしいことも言うかもしれないけど、本当に心配してくれるのはちやほやしてくれる街の人よりお店の人。ブレない芯があるコが売れる、“歌舞伎村”の話も興味深かったですね。
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