今回のテーマは『一本釣り』なんですが、その言葉自体はあまり良い意味では使われませよね?
「その売り上げには実力が伴っていない」という含みがあるからじゃないですか? その客がいなかったら大したことないじゃんっていう。実力があるコだったらそもそも一本釣りとは言われない。「太い客」のうちの1人っていうだけなんで。一本釣りを通過点にできるかどうかが勝負の分かれ目ですよね。ただ、頭ひとつ抜けるまでがキャバ嬢って大変なんで、そのためのキッカケとして一本釣りは全然ありだと私は思います。私もそこがスタートなんで。
野の花さんの一本釣り話を教えて下さい。
2店舗目だったかな。そのときナンバー1を取るんですけど、それが一本釣りでしたね。それまでの月の売上38万から一気に200万にポンと上がった。レベルの低い店だったんでそれで1番になれたんですけど、でもその一歩がデカかったんです。それではずみがついた。ちなみにどうでもいい話なんですけど、そのお客さんのことを私、客とは思ってなくて本当に彼氏だと思ってたんですけどね(笑)。でも、その人が階段を昇らせてくれたんだって思っているし今も感謝してます。
そこから野の花さんの毎月50アップ伝説が生まれる。
そうです(笑)。ナンバーが上がって何がいいかっていうと、上座につけてもらえるようになるんです。キャバクラってすごくいいシステムなんですよ。その月1番になったりすると、次の月の付け回しが劇的に変わるんです。そりゃやっぱりナンバーワンがヘルプ回りをすることなんてないし、フリーに着くにしても格段に良いフリーにつけてもらえるようになる。同じフリーでも医者と大学生がいたら、着けられるのはお医者さん。着くとこ着くとこしっかり、お給料に反映されるような回し方をしてもらえるので。その月の成績が次の月にあからさまに反映されるんですよ。
キャバクラの上座というと、一番お金持っている人の隣みたいなこと?
そうですね。基本的には払いの人とかえらい人、主賓の隣ですね。2名で来るときにソファーのほうと丸イスとかがあったら丸イスに座らせられることはない。丸イスも結構快適ではあるんですけどね♥
最初にその場の主賓を見抜くのは黒服の役目?
そうなりますね。誰に敬語を使っているかとかそのへんを見極めて。でも、見誤ることも多々ありますよ。何なら客のほうで事前に「今日、おれのこと社長って呼んで」とか口裏合わせてることとかあるし。あとは相性とかもあるんでその辺見極めて、「こっちのほうがタイプ」とか言って席をまたいだりしますよ。
またぐとか、野の花さんだからできるのでは?ww
しれっとやればいいんですよ。それが許されるのもナンバーワンの特権(笑)。実際、お金を持ってるから絶対じゃない面もあるんで席はまたいでいかないと。お金持ちでも使わない人もいるし、キャバクラに行く習慣があるかどうかが大事なんでね。ディズニーランドの年間パス持っている人とごくたまに行く人との違いと一緒。ミッキーがどっちを大事にするかって言ったら年間パスを持ってる人のほうじゃないですか。知らないけどw キャバクラに行かない人をキャバクラに行くように育てるっていう作業は面倒臭いんで、なるべく生活に組み込まれている人のほうがいい。
ナンバーワンというステータスだけでなく売上が確実に伸びる仕組みになっている?
そう。売り上げが立てやすくなることが何よりも恩恵ですよね。ナンバーワンにならなかったとしても、ナンバー上位に入っておけば後が楽っていうこと。そういう意味で一本釣りだろうと何だろうとナンバーを上げてくれたっていうことはこの上ないチャンスなんですよ。ありがたいことです!
ナンバーワンになった次の月以降、必ずやるべきことは?
「着いた席の連絡先は必ず交換する」ですね。悪い席に着けられることは絶対にないので。同じ営業をかけるにしても、よくわからない客に費やす時間が減る。労力が実りやすい!
連絡先って普通に交換するものではないの?
しないですしないです。結構しないです。私のお客さんの連れに着いている女のコ、全然連絡先とか聞かないですよ。私のお客さんにゴミはいないのに、みんなお金持っているのに、なんてもったいない!
遠慮しているとか?
いや、私のお客さんの連れに限らず、案外おろそかにしがち。でもまあ、ナンバーワンになったらその座を手放したくないコが多いと思うので必然的にがんばるとは思いますけどね。コレをやったほうがいいアレをやったほうがいいっていうよりもむしろ、モチベーション問題のほうがデカイかもしれない。
モチベーション問題?
たとえば上を目指してナンバーに入ることを目的に仕事するじゃないですか、それでナンバー入りしました、次はナンバー3に入りました、次は2番になった、そして1番になった。そのとき、1番を目指していた女のコって、じゃあ次どうしようってなるんですよ。今まで順位で目標をつけていたわけじゃないですか、そうすると目標がなくなる。そこに落とし穴がある。
目標はもう達成してしまったから?
そう、そこで「ナンバーワンで居続けること」を目標にしちゃうとその後がキツくなっていくんですよ。現状維持って停滞と同じことなんで。伸びるよりもあとは後退していく可能性のほうが大きい。
では、1番になったら次の目標はどう立てたらいいんでしょう?
いろいろあるとは思いますけど、モチベーションが長持ちする目標は「ライバルを先月の自分に設定すること」じゃないですかね。次に勝負する相手は他の誰かではなくて自分。私の場合は、ナンバーワンになったときからずっと、「先月の自分より売り上げを立てよう」でやってきました。売り上げを更新するところに目標をシフトするとモチベーションが維持できるし、そのあとの地位も安泰なんですよ。
でもそうやって更新した売り上げを余裕で超える誰かが現れてナンバーが落ちたら?
それは十分考えられることですけどそこで判断するなと!2位、3位、何ならナンバー外れたとしても、先月よりも売り上げが上がっていたら目標達成なんですから。一時的に抜かれることはあっても、「先月の自分より売り上げを立てる」という意識でやっていると結果はおのずとついてくるものなんで。それで毎月毎月、ちょっとずつでも売り上げ更新し続けていったら、2年後にはえげつない数字になりますよ。そしたらそれは絶対的な数字になるじゃないですか。それが自分の実力になる。
ナンバーにこだわるより、それは後からついてくるものと思ったほうがいい?
ナンバーにこだわる弊害もあるんですよ。たとえば1番の金額のボーダーラインが300万だとして、2番のコが150万だったら、200万でも1番になれるって考えちゃう。意識する相手が2番のコになると、抜かれる不安との戦いになる。
それは病みそうですね。
抜かれる不安との戦いって不毛なエネルギーだし伸びがないんですよ。なんせ左右される相手が2番の相手ってことになるんで。それよりもライバルを自分にするほうがずっと伸びます。
ナンバーが下がるとヤル気がなくなっちゃう人もいますけど。
それは間違ってると思う。正直、みんな忘れがちなんですけど、水商売の根本には「お金がほしくてやる」、それが必ずあったはずなんですよ。ナンバーワンになりたくてこの仕事を始める人も中にはいるかもしれないけど、それでも給料がコンビニのバイトより安かったら誰もやらないですよね? 噂で聞くんです、バースデーのときに自分でお金払ってタワーをやるとか、タワーしてもお客さんから入金がされなくてその費用をかぶってしまうとか。そんなリスクを背負ってまでシャンパンタワーをやりたい、売り上げを立てたい、そういう人はいるんですよ。そんな話を聞くたびに、「本来の目的に立ち戻れ!」と思いますね。
ステータスにこだわるあまり本来の目的を見失っている?
「お金を稼ぐためにこの仕事を始めた」のであれば、ステータスにこだわり過ぎて費用がかさんでいたら本末転倒なんで。そこはしっかりしろと。でも、「先月の売り上げを抜く」ことに狙いを定めてやっていた場合、ナンバーに関わらず売り上げは上がっているんだから給料も上がる一方なんです。実はものすごく儲かっていく。その結果にこだわったほうが未来が明るい。今ナンバーに入っていないコでも、「ライバルを先月の自分」に設定するのはめちゃくちゃいいことですよ。超え続けることは苦しいですけど達成感はものすごくあるし病んでるヒマもなくなる。そうこうするうち自動的に結果もついてくるんでマジでオススメです!
(野の花の教え♥本日のおさらい)
★一本釣りはハシゴを掛けてもらったと考えてそこから実力をつける。
★ナンバーにこだわり過ぎると抜かれる不安との戦いになる。
★ライバルを「先月の自分」に設定すると売り上げもナンバーもついてくる。
★お金を稼ぐために水商売を始めたことを忘れるべからず。
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