そのお客様が太客になるかどうかが直感でわかるという、歌舞伎町『ジェントルマンズクラブ』のKIKOさん。お客さんも自分も楽しめる範囲で、「損したな」のギリギリに抑えるという売上の立て方をcheck! 私がいまこの人を楽しませられるのはここまでだという線引きをする、いくら使ってもらうかは自分で決める。という顧客管理法も要チェックです。
―KIKOさんの自由出勤スタイルは相変わらずですか?
そうですねー。基本パッと売上立てたら出なくなっちゃう(笑)。マメじゃないんですよ性格的に。お客さんも私に求めているのって「ただ場が楽しければいい」なので。私も連絡しないし、お客さんも連絡しない。たぶんSNSとかで見てくれてるのかな? たまに出勤すると何らかの情報を得て来てくれる。私も別に引っ張ろうと思ってないし、お客さんも恋愛的なものを求めてないしお互いWin-Winみたいな。
―その境地まで持ってくの大変じゃないですか?
そうなんですけど、私の場合はそこに至るまでは我慢しました。とにかく焦らない。ブランディングじゃないけど、お金がうまくいかなかったとしてもちょっと値打ちこいとくみたいな。
―値打ちこく?
そう。自分のこと値打ちこいとく。「お金持ちじゃないとしゃべりたくもない」とか。そんな感じで言ってたら自然と変なお客さんが減っていった気がします。ふざけて言ってるんですけどね。ガチでいうんじゃなくて冗談まじり。
―変なお客さんっていうと?
プライベートに持っていこうとする人とか、私じゃなくて着いてるほかの女のコに迷惑かけたりする人とか。キャバ嬢を物として見ている下品な人々ですね。
―KIKOさん、初登場のときに「お金持ちセンサー」があると言ってましたよね。今回はそのへんを掘り下げたいなと思ってます♥
お金持ちセンサー、ありますね。でも、実際にお金持ちかどうかっていうより自分に使ってくれるかどうかですけど。お金を持ってても使ってくれなかったら私にとってはお金持ちじゃないので。「使ってくれそうだな」ってわかるから、そしたら使ってもらうだけ。
―「この人は私に使ってくれる」ってどのタイミングでわかるんですか?
初回でわかります。この人相性が合いそうだなって。
―それはある程度売上を立てられるキャバ嬢のコなら誰しもわかるもの?
それぞれにセンサーは持っていそうですけど…。どの程度使ってもらえそうかの見極めは難しいと思います。「幅」はあると思います。使ってもらえる金額の幅? たとえば同じお客様でも100万しか使ってもらえないコもいれば、1,000万使ってもらえるコもいる。自分にどれだけどう使ってくれるか見極められるセンサーみたいな感じですかね。
―それは、どのくらい話せばわかるの?
人によるなぁ。でも、自分の中のラインがあるんですよ。この人は使ってくれそうだなっていう。それは上手く言えないんですけど、最初に話した感じでわかります。自分が得意そうな人ってことだと思うけど。
―不得意なお客様は?
私の場合は有名嬢さんとか売れてるコを指名するのが好きな人とかは合わないと思う。プロフェッショナルなコたちは努力がすごいじゃないですか。いろんなお客様に対してちゃんとキャバ嬢としての顔を保てるっていうか。そういう有名嬢さんとの飲みの場に慣れている人たちは苦手かもしれない。
―仮に不得意そうなお客様に気に入ってもらった場合は? それはそれでよし?
いや、自分の調子が出ないんではっきりお断りします。指名しなくていいって。あと、嫌な人とか。私の場合は、触ってくる人とか嫌なんでキッパリ拒絶するんですけどそれでも指名で来たりしますね。でも、何が嫌かっていうことは伝えているので直してくれたりもする。そしたら、そこからは普通に。
―お金を使ってくれなさそうな人に気に入ってもらった場合は?
使ってくれない人が嫌ってことは全然ないです。それ以上に求めてくるような人の場合は、他の人指名したほうがいいよって勧めます。「そこまで構えないから、他のコにしたら」って。それで切れても「今まで指名してくれてありがとう」って言いますね。
―方針がしっかりあるんですね。
私の仕事の方針が「お客さんも自分も楽しい環境でお金を稼ぐ」なんですよ。だから、そこからズレる人はお断りしてるって感じです。連絡も返さないし切れていいっていうスタンスで接します。来てくれたらありがとうって言いますけど、「構ってくれないよね」って言われたら、「私は構えない」って正直に言います。嘘ついて自分の気持ちを押し殺してまで仕事をしたくないんですよ。自分が最低限の生活ができればいいっていうタイプなので。
―不得意なお客さんを切る潔さ、方針からブレない強さも自信がなければできないと思いますが。その自信はどこから?
やっぱり売れない時代を経て、そこから巻き返しを図って一から修行し直したっていう下積みがあるからかな?「どん底はこんな感じなんだな」っていうのを知っているから、逆に怖くないっていうか。ちょっと気持ち的に吹っ切れている部分はあるかもしれない。
―初めのジェントル時代は入店から1年間売れなくて挫折して、リベンジを誓って池袋のお店に移籍してやり直したんですよね。
そう。二十歳とかの頃。ジェントルで箸にも棒にもかからなくて…。それで一回撤退して、ホーム感のある池袋に戻って修行したみたいな。
―上手くいかなくて原点に戻るって、なかなかできないものですよね。
ジェントル辞めるときからまた戻ってくる気でいましたからね。周りから見たら「売れないKIKOちゃんがついに逃げ出した!」って感じだったと思うけど、私の中では逃げ出したんじゃなくてこれも勝つための作戦のうちというか。負けっ放しじゃ悔しいじゃないですか。だから実力をつけて絶対にもう一度戻ってきてリベンジするぞみたいな(笑)。
―一時的な撤退みたいな?
そう。売れてない、売れ続けられないっていう時点でマイナスだから。もうその時点で見切りつけて辞めないとジリ貧じゃないですか。売れないなら売れないで一回辞めて、そこから作戦立て直そうみたいな。
―どこで見切りつけていいかわからなくなりそう。
なかなか決断しづらいと思いますけど、結果と向き合って決断しなきゃですよね。「今はダメだ」って。人に言われて辞めるとかじゃなくて、どこかで自分で踏ん切りをつけることで前向きな気持ちで次に進みやすくなると思います。
―池袋のお店での修行時代はどんなことを学んだんですか?
これまでの自分の仕事のやり方は一旦全部捨てて、売れてるお姉さんたちのいろんなやり方を教えてもらいました。結果、自分は接客の基礎から空気の読み方まで何もできてなかったんだなぁって気づいて、そこからは猛勉。初めてメモとかとりました(笑)。
―実力をつけてジェントルに戻ってからは今のKIKOさんのスタイル?
リベンジ後はある程度結果も出せて、黒服さんも「あのKIKOちゃんが…」みたいな感じだったと思うんですけど、そこからもっと上を目指したいなって思ったときに、とあるお客さんから、「KIKOさんは優しすぎる」って言われたんですよ。「客はお金を運んできてくれる豚と思ってごらん」って。「え!!」みたいな。「俺も含めて客はお金を運んで来てくれる豚だと思って見ないといけないよ」って。「俺からもっとガツガツお金を引っ張れ」「もっとお金使わせたほうがいい」って。
―「客はお金を運んで来てくれる豚!」、すごいパワーワードですね!
さすがに豚とは思わないですけど、要はそのぐらいの気持ちで向き合えっていうことなんだと思います…。この教えは刺さりました。「お金使ってもらうの悪いな」っていう気持ちを捨ててプロに徹しろっていう意味で。「自分は客」っていう認識を持っているお客さんって多いんですよ。プライベートでどうこうとか見返りを求めていない「プロ客」みたいな人。そういう人に対して、どう気持ちよくお金を使ってもらうかみたいな。
―そのアドバイス、役に立ちました?
立ちました。だいぶ! おかげで吹っ切れました。それまではちょっと優しさが残ってて、遠慮がちだったんですけど、エンタメとしてもそれが求められているんだったら押していこうみたいな。何なら自分からシャンパン煽るキッカケを作っていけるくらいの気持ちになりました。
―お客さんを豚だと思ったらお金は引っ張りたい放題?
いや、豚って思ってないですよ。マジで。人間は人間ですから。お金を使ってもらうだけ使ってもらおうとか欲をかいてるわけでもないです。むしろ逆かも。「引っ張ってもいいんだ」とわかってからは緩急つけられるようになったというか、「どれだけ使ってもらえるか」を見定めた上でお客さんが困らない程度に、エンタメの範囲で使ってもらうことが得意になったかもしれないです。あくまでも楽しめる範囲。ボーダーラインってあるんですよ。「損した」のギリギリをいくみたいな。
―選球眼が養われたんですね。
引っ張れるからって根こそぎ持っていかない。自分が提供できるエンタメに見合った額というか。それ以上超えると相手に損した感が出てきて関係性が変わってきちゃうんで。使ってもらう額は自分でコントロールしているかもしれない。良い関係を維持できるように見定めてます。
―「根こそぎ持っていかない」。山菜採りのマナーみたいですね。
たぶんそんな感じです。あくまでもお客さんが使いたいと思える場を提供して、それに見合ったお金を使ってもらう。目先のお金を追って上限を超えることはないです。
―さっきも、使ってもらう幅を見定めているって言ってましたね。
そうですね。仮に1,000万円使ってくれると踏んでも、すぐに1,000万使ってもらうとかはないかな。100万円ずつを10回とか、100万円5回と500万円1回とか分けますね。その間に貯めておいてもらってみたいなことも考えているんですけど…。それよりも出せる金額の限界まで使ってもらわないっていうのは心掛けているかもしれないです。お客さんの懐管理的な意味で。たまに時期見てバッと使ってもらうことがあっても、またそこからはいつものペースに戻して…みたいな。そういうのを繰り返してます。そのサイクルに慣れてもらっていくみたいな。
―そこまで考えている?
考えるというか感覚的に。良いお客さんだったらずっと続いてほしいから。無意識のうちに加減している気がします。
―その気になったら根こそぎお願いできそうだけどあえて欲をかかない?
ちょいちょい欲かきますけどね。自分が居やすい楽しい席だったら「もっと入れてよ」とか言っちゃう(笑)。でも、上限は超えない意識はありますね。その加減は見誤らない。
売れ始めたキャバ嬢さんだと若干天狗になっちゃったりして難しいかもしれないですけど、究極、使ってくれるお客さんがすごいだけなんですよ。私たちはそのお客さんを絶対的に楽しませなきゃいけないミッションがある。どれだけ楽しませられるか、その金額は自分で決めなきゃいけないと思ってます。安く見積もるか、高く見積もるか、妥当な線か、そこは自分次第。
―そう考えるとプレッシャーですね。
そうなんですよ。だから、自分で金額決めるんです。これだけの感じだからいくらみたいな。お金持ちセンサーを考慮しつつ無理やり引っ張らない。私がいまこの人を楽しませられるのはここまでだっていう線引きをする。それを超えたらプレッシャーになるし、それ以下だったら貸しを作ったみたいでモヤモヤする。その線引きが大事かなって思います♥
「お客はお金を運んでくる豚」というパワーワードが飛び出したKIKOさんインタビュー。どれだけ使ってもらえるかは本人の自信次第。自分の価値を信じているからこそマイペース出勤でも安定した売上を保っていられるのかもしれませんね♥
有名キャバ嬢紹介
六本木『ファブリックセブン』KIKO シャンパンタワーよりDRCコンプリートな 贅沢バースデー2023♡
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